マスター現る!
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(リクエストボード)壊すなよ」
ナツの横で仕事を見ていた男がヒビの入った依頼版と食い込むように戻された依頼書を指すが、ナツは答えない。帰って来てからそのままの荷物を掴み、後ろから焦ったように追いかけてくるハッピーにも目を向けず、ギルドのあちこちから視線を受けながら去って行く。
「マスター…ナツの奴、ちょっとヤベえんじゃねえの?」
「アイツ……マカオを助けに行く気だぜ」
「これだからガキはよォ……そういうのはソラ一人で十分だっての」
「んな事したって、マカオの自尊心が傷つくだけなのに」
口々にあれこれ言うメンバーを前に、マカロフはキセルを軽く噛み煙を吹かせた。胡坐を掻いたまま、杖を片手に呟く。
「進むべき道は誰が決める事でもねえ。放っておけい」
「ど……どうしちゃったの?アイツ…急に……」
ナツと出会って、まだ然程日は経っていない。だから、彼はこういう人だと断言は出来ない。
それでも、あんなに真剣で―――どこか怖い顔でいるのには、違和感じみた何かがあった。ナツらしくない、という訳ではないが、似合わない。ああいう顔をするイメージは、正直なかった。
「ナツもロメオ君と同じだからね」
「え?」
「自分と、だぶっちゃったのかな」
背を向け、グラスを磨くミラが呟く。
「ナツのお父さんも、出て行ったきりまだ帰って来ないのよ」
「!」
「お父さん……って言っても、育ての親なんだけどね。しかもドラゴン」
笑って振り返ったミラの言葉に、派手な音を立てて引っくり返る。座っていた椅子ごと倒れ、慌てて椅子を立たせ身を起こす。
「ドラゴン!!?ナツってドラゴンに育てられたの!!?そんなの信じられる訳……」
「ね」
そういえば、ハッピーが言っていた。ナツの使う滅竜魔法は、イグニールが教えてくれたものなのだと。
そしてナツが言っていた。彼の探すイグニールは、本物のドラゴンなのだと。
「小さい頃そのドラゴンに森で拾われて、言葉や、文化や…魔法なんかを教えてもらったんだって」
魔法を。
それなら、そのドラゴンというのは間違いなくイグニールで、そして。
「でもある日、ナツの前からそのドラゴンは姿を消した」
――――ナツの前から、いなくなってしまっている。
「そっか…それがイグニール……」
「ナツはね…いつかイグニールと会える日を楽しみにしてるの。そーゆートコが可愛いのよねえ」
眉を下げて笑うミラに「あはは」と笑い返す。あのナツに可愛いとは何とも似合わない言葉だが、目線を変えればそう見えるものなのだろう。
「…私達は……」
「!」
「妖精の尻尾の魔導士達は……」
ルーシィの前に出され
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