マスター現る!
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いてやるさ」
ルーシィにひらりと手を振って、すっかり暗くなったマグノリアに消えていく。出ていく寸前に足を止めて振り返り、見慣れたニヒルな笑みを浮かべて。
と、それとほぼ同時にナツが立ち上がる。別にニアを追いかけようとか、そういう訳ではなく。
「お前、あんな可愛い娘どこで見つけて来たんだよ」
「いいなあ〜、うちのチーム入ってくんねえかなあ」
「ナツ、どこ行くんだ?」
「仕事だよ、金ねーし」
だらしなく顔を緩めるオッサン勢を放って、向かう先は依頼版。
ギルドの一角に設置されたそれにはギルド宛の依頼書が沢山張られ、仕事内容は魔物討伐から探し物、遺跡探索、魔法学校の先生なんてものまで様々だ。
「報酬がいいやつにしようね」
「お!コレなんかどうかな。盗賊退治で16万Jだ!!」
「決まりだね」
足元に寄って来たハッピーと端から端まで目を通し、その中から一枚を破り取る。あとはこれをミラに見せ、仕事を受けたと確認してもらうだけ。依頼書を片手にミラがいるカウンターに目をやる、と。
「父ちゃん、まだ帰って来ないの?」
「む」
ナツのいる位置とミラの間、カウンターのテーブルに座るマカロフの前に小さな姿があった。花なんだか人なんだかよく解らない妙なキャラクターが大きくプリントされたTシャツを着た少年。ナツも何度か見た事がある。
「くどいぞロメオ。貴様も魔導士の息子なら、親父を信じて大人しく家で待っておれ」
「だって……三日で戻るって言ったのに……もう一週間も帰って来ないんだよ……」
涙を浮かべるロメオを見る。じっと、見つめる。
「マカオの奴は確か、ハコベ山の仕事じゃったな」
「そんなに遠くないじゃないかっ!!!探しに行ってくれよ!!!心配なんだ!!!」
「冗談じゃない!!!貴様の親父は魔導士じゃろ!!!自分のケツもふけねェ魔導士なんぞ、このギルドにはおらんのじゃあ!!!帰ってミルクでも飲んでおれい!!!」
マカロフの言葉は、六歳の少年には冷たく厳しく響いていた。見る見るうちに浮かぶ涙が大きくなり、今にも零れそうなそれを堪えるようにロメオは強く拳を握る。
「バカー!!!」
「おふ」
ごすっ、と音がした、と思ったらマカロフの顔面にロメオの拳が炸裂していた。思い切りジャンプしたロメオは拳を叩き込み、着地と同時に涙を拭いながらギルドを走り去る。
「厳しいのね」
「ああは言っても、本当はマスターも心配してるのよ」
その後ろ姿を見つめるルーシィの呟きに、背を向けたミラが返す。
―――ズシ。
重い音がした。
依頼版の方から、と目を向けた時には、既にその人はつかつかと歩き出している。
「オイイ!!ナツ!!依頼版
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