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エターナルユースの妖精王
マスター現る!
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合い、カナが口角を上げ、ロキと傍らの女性が笑う。ピリピリしていた喧嘩ムードは消え去って、先程まで睨み合っていた同士も笑い合う。
ルーシィもつられるように笑って、隣に目をやればニアもふっと表情を緩めていた。






三日月が出ていた。夜になっても笑い声は絶えず、ギルドの中は明るい。

「じゃあ、ナツが火竜(サラマンダー)って呼ばれてたのか!?他の街では」
「確かにオメーの魔法は、そんな言葉がピッタリだな」
「ナツが火竜(サラマンダー)なら、オイラはネコマンダーでいいかなあ。ねえねえ」
「マンダーって何よ」

クロフ達がナツに話しかけるが、答えはない。無視している訳ではない。ただいま食事中なのである。
ハルジオンのレストランでのように忙しなく食べ進めていく三品―――炎がソースのように絡むファイアパスタ、炎を纏う骨付き肉ことファイアチキン、ジョッキになみなみと注がれたファイアドリンクは初見のニアにはどれもただの炎にしか見えないのだが、それはさておき。

「ここでいいのね?」
「はいっ!!!」

弾む声に目線を戻せば、カウンターに乗せた右手の甲にスタンプが押されているところだった。ぽん、と軽い音がして、桃色の妖精の紋章が右手の甲を彩る。

「はい!!これであなたも妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員よ」
「わあ♪」

ミラが押してくれたそれをキラキラした目で見つめたルーシィは、ステップを踏むような軽い足取りでナツに近づく。

「ナツー!!!見てー!!!妖精の尻尾(フェアリーテイル)のマーク、入れてもらっちゃったあ」
「よかったなルイージ」
「ルーシィよ!!!!」
「誰だよルイージ」

気づけば空になっている食器三つを前に、盛大に名前を間違えるナツに、ルーシィに続いてニアまでツッコミを入れる。
カウンターの端の席で頬杖を付きながらその様子を見つめるニアに、スタンプを片付けたミラが「ねえ」と声をかけた。

「あなたは入らないの?」
「一か所に留まる気になれなくてな、けどしばらくはマグノリアに滞在するつもりだ。…それで、今からでも泊めてくれそうな宿を探しているんだが……知らないか?」
「そうねえ…だったら、南通りの……」
「ふむ」

街の地図を広げ何か所か指すミラの指を目で追って、一つ頷く。

「そうか…助かった、ありがとう」
「地図、よければ持っていく?」
「いや、気持ちはありがたいが大丈夫だ。覚えた」

昔から記憶力には自信がある、と続ければ、ミラは「そう。解らなくなったらいつでも聞きに来てね」と微笑んだ。席を立ち会釈すると、傍に置いていた鞄を掴みすたすたとギルドを出て行こうと足を進める。

「あ、ニア」
「宿が決まったら一応伝えておく。何かあったら話くらいは聞
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