ほっぽと御馳走の山
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
『深淵』を飛び出したほっぽちゃん、一路鎮守府へ向かいます。が……
「鎮守府ッテ、ドコニアルノ?」
ほっぽちゃん、当然ながら鎮守府のある場所を知りません。ほっぽちゃんは深海棲艦の中でも『陸上基地型』に属する娘です。自分の守る基地を攻められはしても、自分から攻めた事なんてありません。鎮守府の場所を知らないのも、ある意味必然です。
「トリアエズ、マッスグススム!」
そう言ってほっぽちゃんはお飾りの入った木箱を頭の上に乗せるように抱えると、太平洋の真ん中辺りから西に向かって一直線に進み始めました。子供のような成りとはいえ、そこは姫級。通常の深海棲艦の数倍の速度で太平洋を渡って行きます。
「ン?カンムスノハンノウ!」
ほっぽちゃん、前髪のアホ毛が電探の役割でも果たしているのか、前方に艦娘の反応を検知したようです。しかし、海の上を進んでいる影は見えません。しかし、水面をよく見ると3つの頭が水面ギリギリから覗いています。どうやら、ほっぽちゃんの見つけた反応は潜水艦娘の物だったようです。
「にひひっ、今日も燃料に弾薬、大漁なのねー♪」
「日課の任務も終わったし、とっとと帰るでち。」
「あ!そういえば今日は端午の節句のお祝いパーティする日じゃなかったっけ!?」
「「えっ!!」」
「や、やべぇでち。こんなトコでノコノコしてたらてーとくの料理食べ損ねるでち。……オラッ、野郎共急ぐでちよ!」
「そもそもイク達、野郎じゃないのねー。」
「こまけぇこたぁいいんでち!」
なんだかとっても騒がしい3人組です。でも、このワォワォでちでちのねのね言ってる3人に付いていけば、鎮守府には辿り着けそうです。ほっぽちゃんは付かず離れず、気付かれないようにあとを尾けていきます。やがて、赤い煉瓦造りの建物が見えてきて、潜水艦娘3人も漸く着いたとホッとしています。
「さぁ、資材を倉庫にぶち込んで、とっととご馳走食べに行くでち!」
3人はほっぽちゃんに気付いた様子もなく、その場をさっさと離れます。ほっぽちゃんも彼女達が使っていた梯子を使って、港に降り立ちました。
「ココガ……チンジュフ…。」
ほっぽちゃん、勿論鎮守府に来るのなんて初めてです。見える物、聞こえる物、漂う匂い……。全てが物珍しく、全てが初体験です。
「ア、ニモツ、カエサナキャ……。」
しかし、艦娘に会って直接渡すわけにはいきません。何より、艦娘に遭遇するのが怖いのです。いきなり襲われるんじゃないか、痛い思いをするんじゃないか。小さな心は不安でいっぱいです。
「ソウダ!」
ほっぽちゃんがポケットをごそごそ漁って取り出したのは、クレヨンと画用紙の切れ端でした。お絵描きが好きなほっぽちゃん、お
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ