一方その頃鎮守府では……
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所変わってブルネイ泊地にある、とある鎮守府ーー……。ここには、料理と酒をこよなく愛する一風変わった提督と、お酒が大好きな艦娘が沢山います。しかし今日は、何やら困り事のようです。
「参ったなぁ、端午の節句のお祝いだってのに鯉のぼりも鎧飾りも無しじゃなぁ。」
頭を乱暴にガシガシと掻きながら、困ったような声をあげているのがこの鎮守府の提督。
「どうします?もう街の子供たちは集まってますよ?」
そう言うのはこの鎮守府の雑務担当兼金庫番、(提督曰く)『腹黒眼鏡』の大淀さん。どうやら今日は近所の子供達を招いての端午の節句をお祝いするパーティだったようです。しかし、肝心の鯉のぼりも鎧飾りも届いていないのです。予定では今朝にも届くはずだった貨物船が深海棲艦の艦隊に襲われ、積み荷を奪われてしまったと。護衛にはこの鎮守府の艦娘も付けていたのですが、4隻とはいえヲ級とル級の改flagship型と呼ばれる強化個体にリ級flagship、そして戦艦レ級eliteという陣容に襲われてはひとたまりもありません。寧ろ、轟沈される事なく全員が無事に帰ってきた事を喜ぶべきとさえ言える相手でした。
「しゃあねぇなぁ。飾り物は何もねぇが、俺と皆で作った料理で勘弁して貰おう。」
と、飾り物無しでパーティを始める決断をした直後
「し、司令官さん!大変なのです!」
パタパタと駆けてくる一人の駆逐艦の姿が。
「ん?どうした電ちゃん。」
「もう!だから私の名前は“いなずま”で、“でん”じゃないのです!いい加減に覚えて欲しいのです!」
彼女の名前は電(いなずま)ちゃん。提督さんが呼ぶように『でんちゃん』ではありません。幼く可愛らしい見た目と、庇護欲をそそる妹キャラで一部の(趣味の危ない)提督さん達に大人気の艦娘です。そんな彼女は先程までの慌てっぷりはどこへやら、名前を(ワザと)呼び間違えられた事にぷんすか怒っています。
「だって電ちゃんの方が呼びやすいし可愛いだろ〜?……んで、そんなに慌ててどうした。また誰かとぶつかった?」
実は電ちゃん、しっかりしていそうで実はドジっ子。しょっちゅう他の娘とぶつかって相手を大破させています。
「ち、違うのです!今日は本当に大変なのです〜!」
少し提督にからかわれて泣きそうに成りながら、必死に訴える電ちゃん。大丈夫です、提督さんは解ってからかっているだけですから。
「すまんすまん、あんまりリアクションが可愛いし面白くてなぁ。……で、何があった?」
提督さん、一気に真面目な顔になります。
「じ、実はさっき港の方に大きな木箱が置いてあって、中に鯉のぼりも鎧飾りも入って見つかったのです。」
「ほぅ?それで、見つかったのは木箱だけか?」
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