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提督はBarにいる・外伝
コイノボリ
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潤ませるル級達。

「アノネ、ホッポモ嘘、ツイテタノ……。」

 泣きそうな顔になりながら、ほっぽちゃんがポツポツと語り始めました。




「ホッポガ持ッテタ菱餅、本当ハオ姉チャンニ貰ッタンジャナイノ……。」

「え、それは、どういう……?」

「カエレ!ッテ言ッタノニ、帰ラナイ船ガイテ、オ姉チャンガ沈メタ船カラ流レテ来タッテ言ッテタノ。」

「つまり、あの菱餅は元々は人間の物だったと……?」

「ウン、モシカシタラ……ヒシモチトラレタホッポミタイニ、今ナイテルニンゲンガ…イルカモシレナイ……。」

 そう言いながらほっぽちゃんは大粒の涙を溢しながらしゃくり上げています。そんな泣きじゃくるほっぽちゃんを優しく抱き留め、背中をぽんぽんと叩くル級。

「姫様が悲しむ必要など、無いのです……。」

「悪いのは、“戦争”です。」

 深海棲艦と、人間、そしてその間を繋ぐ艦娘。この奇妙な繋がりの戦争が無くなりさえすれば、人間と深海棲艦が手を取り合って行事を楽しめる日が来るのかも知れない。そんな夢物語を考えてしまうル級だった。



「……………………。」

 ほっぽちゃんは黙り込んだまま、何かを考え込んでいるようです。

「どうされました?姫様。」

「コノコイノボリモ……。」

「到着ヲ待ッテイルニンゲンガイルカモシレナイ……!」

「ゴメンネ、ミンナ……ホッポノタメニシテクレタノニ……。」

「な、何を言ってるんです姫様?」

「ホッポ……コレ、カエシテクル!」

「なっ、何言ってんだい姫ちゃん!?」

 ほっぽちゃんの発言に仰天する4人。人間のいる場所を彼女達が知っているのは鎮守府のみ。つまり、敵の本拠地に(見た目は)幼いほっぽちゃんが一人で乗り込もうと言っているのだ。狼狽えない方が可笑しいでしょう。

「デモ、オ姉チャン言ッテタ。『悪いことだと思ったら、ちゃんと謝りなさい』ッテ。ダカラ、カエシテゴメンナサイシテクル!」

 ほっぽちゃんはそう言うや否や、鯉のぼりと鎧兜を箱に詰め直して、深淵を飛び出して行きました。目指すのは一路、海上です。ほっぽちゃんの一世一代の『おつかい』が、今始まります。
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