ほっぽと鯉のぼり編
ほっぽと鯉のぼり・始まり
[1/2]
前書き [1]次 最後 [2]次話
艦娘と戦いを繰り広げる正体不明の敵・深海棲艦。彼女達には心は無いのか?否、そんな事はない。人間と艦娘、そして深海棲艦。この奇妙で歪な三角関係は、互いに互いを知らなすぎる余りにいがみ合い、今もなお争っている。これは、そんな争いの中で起こった小さな交流の話……。
「ホッポノ……ヒシモチ…。」
「ヒシモチィ……マタ、トラレタァ〜!」
ここは深海棲艦達における大本営のような場所。人間の技術力では到底辿り着く事は出来ない海深く暗い場所。便宜的に《深淵》と呼ばせて貰いましょう。そこで子供が癇癪を起こしたかののように泣き叫んでいる姫級の深海棲艦が一人。名前は《北方棲姫》、通称ほっぽちゃん。姫級の戦闘能力を持ちながらその容姿や精神はまだ幼く、ル級やヲ級といった配下の深海棲艦達が身の回りの世話をしていました。
「あぁ、お労しや姫様……。」
「姫様、あんなに泣いて可哀想…。」
泣き止まない北方棲姫を見てオロオロしているのは、普段から身の回りの世話をしているル級とヲ級の二人。元々『名前』の概念が無い深海棲艦達は、人間が使っている通称を利用しています。
「どうしたんだい?姫ちゃんの奴。さっきからずっと泣きっぱなしじゃない。」
「レ、レ級さん!貴女南方海域に行ったはずじゃあ……!?」
「最近めっきり攻めてくる艦娘共も居なくてさぁ。暇だったからちょっと里帰りにね〜。」
ル級に話しかけて来たのは戦艦レ級。姫級に勝るとも劣らない戦闘能力の持ち主で、戦う事に快感を覚えている戦闘狂です。
「じ、実は……姫様の姉上であらせられる港湾棲姫様が作って下さった菱餅を、艦娘共に奪われてしまいまして。」
「……ん?でもそれって確か、2ヶ月位前の話じゃないっけ?」
そう、菱餅は桃の節句……3月にあるひな祭りのお菓子です。
「えぇ、それを艦娘達に奪われてからというもの、姫様は毎日思い出してはああして悔し涙を……。」
よよよ、とハンカチで目元を拭うヲ級。
「いやいやいやいやいやいや!2ヶ月経っても諦めきれないって!どんだけ!?恨み募らせ過ぎでしょ!」
ほっぽちゃん、幼い見た目に似合わず執念深いようです。
「おのれ艦娘共め、こうなったら報復あるのみ!」
「奴等の荷物を我らの手で奪い、姫様の恨みを晴らすのだ!」
ル級がそう吼えると、周りにいたヲ級やイ級、ホ級やヌ級までもがそれに同調して燃えている。ほっぽちゃん、皆からとても好かれているんです。
「仕方無いなぁ、ボクも暇だから手伝ってやるか。」
レ級までもが協力して、人間の貨物船を襲って積み荷を奪うつもりのようです。はてさて、一体どうなってしまうのやら。
ル級達が出撃してから数時間後…
前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ