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駄目親父としっかり娘の珍道中
第81話 似た者同士は案外中身も似た者同士
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 見上げれば清々しい程の青空が視界いっぱいに広がってくる。多少なりとも先ほどまでの曇天の名残か白い雲がちらほら残ってはいるが快晴である事に変わりはない見事な天気だった。
 誰もがこの天気を見れば心が晴れ晴れとなるだろうが、それを現に見上げている高杉の気分は全く晴れ晴れとはしなかった。
 
「・・・・・・」

 無言のまま手すりに寄り掛かり眼前に広がる青空を見上げ続けている。そんな高杉に向かい殺意と得物を向ける数人の不届き者達が居た。
 高杉の気分が晴れない原因はこいつらだった。彼にとって彼ら管理局の介入は全くもって喜ばしくはない。見ず知らずの赤の他人に土足で玄関に入り込まれたような不快感だった。

「鬼兵隊総帥、高杉晋介はお前か?」
「大人しく我々と同行して貰おうか。抵抗するのなら武力行使も辞さないつもりだ」

 杖状のデバイスが数本。その切っ先を高杉に向け、数人の局員たちが迫る。
 彼らが何故この江戸の地に現れたのか。何故彼を連れて行こうとするのか。
 
「・・・・・・」
「何か言ったらどうだ? それともビビッて声も出せないのか?」
「やれやれ、呼んでもないのに勝手にずかずかと上がり込みやがって。全く無粋な連中だな」
「何!?」
「そっちの所じゃいきなり人様の家に入り込んでそんな態度を取るのが当たり前なのか? だとしたら、相当お前らはマナーがなってない輩ってこったな」

 静かに、だが明らかに不機嫌そうな物言いで高杉は呟いた。視線こそ動いてはいないが、そこから感じられる威圧感に局員達は皆固唾を呑む思いがした。

「悪いが、犯罪者を相手に常識を問う余裕はない。大人しく我々に従うか、それとも―――」

 言葉は其処で区切られた。言い切ろうとした局員をまるで睨みつけるかの様に高杉の目線が飛び込んで来た。
 まるで獣に睨まれたかの様な威圧感が背筋を突き抜けて行った。
 これは恐怖なのか、それともまた別の感覚なのか。それを究明する時間は彼らには余りなかった。

「お主達は寺子屋で常識とやらを学ばなかったのでござるか?」

 突然後ろから声がした。今まで後ろに気配など感じなかったのに突然だ。その声の主に向かい振り返ろうとしたが、今度は体の自由が全く聞かなかった。見れば体全身にか細い鋼線が絡みつき動きを封じ込めていたのだ。
 身動きが取れない局員たちを他所に、声の主はゆっくりと前へと踊り出た。
 ダークグリーン色のコートを着こなし、耳には独特のカラーをしたヘッドホンを掛け、三味線を手に持ちながらリズムを刻んでいるかの如く肩を揺らしながら歩いている背中。それだけの情報しか得られなかった。

「人様の家に入るときは・・・まずノックをするのが常識でござるよ。ついでに言えば・・・手土産の一つや二つを持ってくる事
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