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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百三十五話 辺境星域視察
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です。司令長官からの指示とはどういうことです? 責めているのではありません、後々拙い事になりはしないかと心配しているのです」
やはり此処から入らなければならないか、まあ変則的だから仕方が無いんだが……。
「広域捜査局は星系間にまたがる犯罪を扱います。此処には六つの課が有り当然ですがそれぞれに役割がある。第一課は強行犯、第二課は知能犯、第三課は盗犯、第四課は鑑識、第五課は科学捜査、そして我々第六課……」
「……第六課の役割は何です?」
「テロ・スパイなど帝国の安全保障に係る公安事件です」
「……公安事件」
キスリング少将は呟くように言葉を出すと考え込んだ。第六課の正体が何なのか、大体は想像がついたのだろう。
「第一課から第五課まではルーゲ司法尚書が最終的な命令権を持ちます。しかし第六課に対してはヴァレンシュタイン司令長官が命令権を持つ……」
「しかし、それは」
キスリング少将が驚いたような声を出すがそれを遮った。
「期間は五年間です。司令長官は今後二年の間にフェザーン、同盟を降すつもりです。つまり五年間というのは宇宙が帝国の覇権の下に安定するまでの期間だろうと自分は考えています」
私の言葉にキスリング少将は何度か頷いた。
「……なるほど、一時的なものと言うことですか、了解しました。それで司令長官の指示とは?」
「オーディンの地球教が宗教活動の中で薬物を使用している可能性は無いか確認して欲しいと」
私の言葉にキスリング少将が黙り込んだ。
「……サイオキシン麻薬ですね。地球教が布教の中でそれを使っているのではないかという事ですか……」
「ええ、これから地球教を調べるのですが、その前に四百八十三年の摘発時にそのような事が有ったのかどうかを確認したいと思ったのです」
キスリング少将は考えている。彼の黄玉色の瞳が細められた。過去を追いかけているのだろう。
「いや、そのような事は無かったと覚えています。あの時憲兵隊は徹底的にサイオキシン麻薬を摘発しました。地球教が使っていてそれに気付かなかったとは思えません。また疑いがあってそれを放置したとも思えない」
「となるとここ数年で使い出した?」
「……いや、それも難しいでしょう。サイオキシン麻薬は常習性が強い、安定した供給先が無ければ薬の切れた中毒患者が暴れだします。そうなれば当然事件になる。サイオキシン麻薬を布教に使っている事が外部に漏れたら大変な事になります。そんな危険を犯すとは思えない」
キスリング少将の言う事はもっともだ。自分もそう思う。あの事件以来サイオキシン麻薬に対する世間の目は厳しい。敢えて地球教がそれを使うだろうか?
「となると司令長官の考えすぎと言うことですか……」
「ウーム、或いは供給ルートが別だったのか……」
「供給ルート?
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