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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百三十五話 辺境星域視察
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うちの一人が近付いて来る。身なりは悪くない、おそらくクラインゲルト子爵だろう。となると残りは執事か。名前はなんだったかな、モンタード? 違うな、モンタルド?
「ようこそヴァレンシュタイン元帥。私がクラインゲルト子爵です。こんなところまで来ていただけるとは……」
「当然の事です、クラインゲルト子爵。辺境星域については皆が心配しています」
「そうですか、気にかけていただけるとは有難いことです」
いかんな、口調は感謝しているが眼は笑っていない。信用してないな。
「今回もリヒテンラーデ侯、リヒター自治尚書、ブラッケ民生尚書が来たがっていました。しかしオーディンのほうも手を抜く事は出来ません。そんな訳で私が代わりに来たのです」
少しは眼が和んだようだ。それにしても結構政府に対して不信感が強いな。こいつを何とかしないと辺境星域の経営は上手くいかんだろう。やれやれだ。
「こんなところで立ち話もなんですな、どうぞこちらへ。モンターク、先に行ってくれ」
なるほど、執事の名前はモンタークだったか、先を進む執事の後姿を見ながら思った。それにしてもフィーアは出てこなかったな、出来れば会いたかったんだが……。息子のカールは今年で六歳、いや七歳か、だとするとフィーアは三十歳前後だろう……。綺麗で優しそうなお母さんだったな。
浮気じゃないぞ、ケスラーのことをちょっと話したいだけだ。何気なくケスラーの事を話せば向こうから幼馴染だと言ってくるだろう。クラインゲルト子爵家にしてみれば中央との伝手は喉から手が出るほど欲しいに違いない、必ず食いついてくる。
あとでケスラーを冷やかしてやる。ケスラー上級大将の若き日の切なくて甘酸っぱい初恋物語だ。しばらくはゼーアドラー(海鷲)はその話で持ちきりだろう。俺とユスティーナの事を酒の肴にした罰だ。
屋敷に入ると応接室に通された。中には既に先客が居る。老人が一人、そして中年男性が二人だ。老人はクラインゲルト子爵と同年輩だろう、中年男性は二人とも長身だが一人は黒髪、もう一人は金髪だ。
どうやらこの地域の貴族らしい。はてね、どういうことだ、此処ではクラインゲルト子爵からこの地域の話を聞いて終わりだったはずだが……。
「元帥閣下、紹介しましょう。こちらはゲオルグ・フォン・バルトバッフェル男爵、アロイス・フォン・ミュンツァー男爵、アウグスト・フォン・リューデリッツ伯爵です」
子爵の言葉に三人の男が微かに目礼を送ってくる。どうやら老人がバルトバッフェル男爵、黒髪がミュンツァー男爵、金髪がリューデリッツ伯爵か。
「……宇宙艦隊司令長官エーリッヒ・ヴァレンシュタイン元帥です」
あのロクデナシども、知っていたな。それで俺に辺境視察を押し付けたか……。亡命者のヴァレリーは気付かんだろうが目の前にいる三
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