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選挙
第八章

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「パソコンもスマートフォンも使えない人が」
「そうした人が投票するんだね」
「あの人に、ですから」
 それでというのだ。
「当選はしそうです」
「そうなんだね」
「はい、それに」
「それに?」
「老人票と組合票がです」
 この二つがというのだ。
「大きいですから」
「組合とべったりの人だからね」
「そして老人票は」
 こちらはというと。
「老人向けの福祉ばかり。テレビや新聞でも言っていて」
「お年寄りはネットしない人も多いからね」
「それで、です」
 辻本の悪い噂は全く知らずにというのだ。
「投票してです」
「そうだね、あの人も当選しそうなんだね」
「少なくともご本人は安心しているでしょうね」
 選挙に当選することをというのだ。
「そうだと思いますよ」
「わかったよ、けれど我々はね」
「あくまで、ですね」
「最後の最後までね」
 それこそ投票されるその時までというのだ。
「頑張っていこう」
「それしかないですね」
「うん。地道でも何でもね」 
 古いと言われようが泥臭いと言われようがというのだ。
 そしてだ、西岡はスタッフ達と共に選挙活動をまさに不眠不休で続けてだ、投票の日を迎えるとであった。
 投票結果を聞いてだ、共に戦ってきたスタッフ達と共に万歳三唱した。そのうえで。
 彼等にだ、笑顔で言った。
「皆今回も有り難う」
「いえ、先生ことお疲れ様でした」
「本当に」
「率先して活動されて」
「お疲れ様でした」
「いやいや、皆がいてこそだよ」
 それでこそというのだ。
「今回もやれたんだ」
「そう言ってくれますか」
「今回も」
「その通りだからね、では今夜はね」 
 この夜はというと。
「ゆっくり寝よう」
「はい、そうしましょう」
「是非」
「寝てそして」
「休みましょう」
「ここまでずっと動きっぱなしだったからね」 
 その選挙活動をだ。
「だから今夜は」
「寝てですね」
「また明日ですね」
「明日働くんですね」
「そうしよう」
 こう言う、だが。
 テレビを見るとだ、当選の知らせにだ。 
 辻本もあった、それでスタッフ達はやや眉を顰めさせて言った。
「あの人も当選しましたね」
「そうなりましたね」
「予想はしていましたが」
「先生の次に」
「そうだね、けれどね」 
 ここでこう言った西岡だった。
「ネットで言われているね」
「はい、今回どうも資金に困って」
「何か妙な資金の出処らしいですね」
「マスコミは報道していませんが」
「そうらしいですね」
「それがどうなるかな」
 当選したがそれでもというのだ。
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