第五章
[8]前話
「そこまで努力をすればな」
「授かるものですか」
「アッラーはいつも見ておられるのだ」
ここは強く言ったムワッヒドだった。
「全てはアッラーが定められるな」
「だからですか」
「アッラーは自ら動くものを助けられるのだ」
「だからシャハラザードの様にして、ですね」
「努力すればな」
「アッラーが恩恵を下されるのですね」
「そういうことだと思う、それではだ」
ここまで話してだ、そしてだった。
ムワッヒドはハムディにだ、こうも言ったのだった。
「これからもだ」
「二人目も三人目もだ」
「努力をし続ける」
「アッラーの恩恵を受けるのだ」
「子供は恩恵だからこそ」
「わしは百人もの恩恵を授かったのだ、いや」
己の言葉をだ、ムラッヒドは訂正した。そのうえであらためて言う言葉はというと。
「百一、そしてだ」
「百二人目のですね」
「懐妊の話があったな」
「そのお二人もですね」
「アッラーの恩恵だ」
満面の笑顔でだ、ムワッヒドはハムディに話した。
「そうなるな」
「そうですか」
「ではだ」
「これからもですか」
「アッラーの恩恵を頂こう」
自ら励みそのうえでというのだ。
「是非な」
「何かそう聞きましても」
「女を楽しんでいる様に見えるか」
「実際に否定しませんね」
「十五で子をもうけたのだぞ」
ハムディに顔を向けて笑っての返事だ。
「その誕生日に生まれたのだ」
「つまり十四の時にですね」
「懐妊の話を聞いた、正妻からな」
「よく結婚出来たものですね」
その歳でtだ、ハムディはそこに突っ込みを入れた。
「色々とあったそうですが」
「ははは、子供は作れる様になれば作りだ」
そしてというのだった。
「作れる限りはだ」
「作っていく」
「アッラーの恩恵を受けるべきなのだ」
まさにそれをというのだ。
「女が好きなのは恩恵を受ける為にはいいことだ」
「では今宵も」
「百二人目で満足はせぬ」
そして楽しみを捨てることはしないというのだ。
「今夜もだ」
「では私も」
「二人目を授かるのだ、いいな」
「わかりました」
ハムディも頷き二人目を授かる為に励むことにした、子供が欲しかった彼だが主の話を聞いて二人目も欲しくなった。
そしてだ、主にこう言ったのだった。
「私も子供は幾らでも欲しくなりました」
「そうあれ、アッラーの僕ならばな」
今夜のことを楽しみにつつムワッヒドも言う、彼もまた執事長と同じ気持ちであった。
赤ちゃんが欲しい 完
2016・6・16
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