第五章
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「見なくて済む様になる日が来ることを願ってるさ」
「俺もだけれどな、それは」
「マスコミの虚像なんているか」
それこそという言葉だった。
「普通に働いてる人の方がずっと立派だよ」
「この一家よりもか」
「そうだよ、さっかといなくなれ」
口調は憎々しげにさえなっていた、優樹は正樹以上に田亀一家を嫌い抜いていた。そしてその次男坊が自分の試合前に相手との会見で負けたら切腹しろだの言いそして肝心の試合でレスリングさながらの喧嘩かと思える位の馬鹿なことをしでかしてだ。
負けた時にだ、優樹はその試合を観つつ吐き捨てる様に言った。
「これがこいつ等なんだよ」
「酷い試合だったな」
「ボクシングはプロレスじゃないんだぞ」
腕を組んでだ、隣にいる弟に言った言葉だ。
「ボクシング辞めちまえ」
「本当にそうだな」
観れば一家は観客達のセップク!セップク!の『エール』の中逃げ去る様にしてリングを後にしていた、さながら悪さをした猿共が尻を叩かれ逃げ去る様に。
「こいつらスポーツマンじゃない」
「ただのチンピラか」
「これではっきりしたろ」
「ネット観たらな」
正樹は携帯でネットをチェックして兄に言った。
「凄いな」
「叩かれてるんだな」
「元々ネットじゃ評判最悪だしな」
「当然だろ、こんな糞試合やったんだからな」
「いつもみたいに八百長判定で、とはいけなかったな」
何故かこの一家の試合は殴られまくっていても一家の方が勝つ試合ばかりだ、実況も偏向しておりそれが八百長と言われる由縁である。
「酷過ぎてな」
「そうだな」
「本当にこれがな」
「この一家の実情か」
「所詮猿なんだよ」
嫌悪を全開にさせてだった、優樹はこうも言った。
「この一家はな」
「猿一家か」
「品性も何もかもが下劣過ぎるんだよ」
「それで猿か」
「何かセコンドやってる長男試合中に言ってなかったか?」
「ああ、今それがネットで検証されてるぞ」
試合終了直後であるがだ。
「何か目を狙えって言ってたらしいな」
「目か?」
「相手のな」
「それボクシングでルール違反だからな」
「ヤクザの喧嘩みたいだな」
「所属のボクシング協会に通報してやれ」
優樹はすぐにそうすることを決めた。
「それもネットで有志を募ってな」
「それで一家を追い詰めろっていうんだな」
「そうだ、ここからな」
まさにこれを発端として、というのだ。
「やってやれ」
「一人じゃ無理されてもか」
「何千何万と通報すれば効くからな」
「じゃあ俺達も通報するか」
「俺は絶対にするからな」
実際にだった、優樹は正樹から長男が言っていた映像をネットで拾ってその日のうちに協会に通報した。
こうした通報は優樹の言う通り何千何万と続いてだ
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