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最高のご馳走
第四章

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「しかしね」
「この前はなの」
「ここまでは美味しくなかったよ」
 そうだったというのだ。
「本当にね」
「そうだったの」
「どうしてかな、いや」
「いや?」
「ひょっとしたら」
 おかずの梅干も食べつつ言う、やはりお粥に梅干だ。
「そういうことかな」
「どうしたの?」
「いやいや、こっちの話だよ」
「そうなの」
「とにかく今日のお粥は美味しいよ」
 このことは確かだというのだ。
「この前よりもね」
「同じお粥でも」
「同じ食材で同じ状況でもね」 
 熱いお粥だった、前も今も。しかしというのだ。
「今日は余計に美味しいよ」
「そうなの」
「不思議とね、じゃあこのお粥を食べて」
「今日も会社に行くのね」
「そうするよ」
 こうしたことを話してだった、菊池はこの朝は家族と一緒に朝食を食べた。それもかなり満足出来たものだった。
 その朝食の後で出勤して午前の仕事をして運命の昼を迎えた、ここで彼は太田に言った。
「美食倶楽部の同志諸君からね」
「来てもらいましたか」
「友田君と松永君にね」
「では今日は三人分をですね」
「田中さんに作ってもらうよ」
「昨日と同じメニューを」
「同じ食材、同じ味付けの仕方でね」
 こう太田に話す。
「そうするよ」
「それでは」
 太田は菊池に確かな顔で応えた、そしてだった。
 昼になるとその二人が来てだった、社会で食事となったがだ。二人は菊池に笑顔で話した。
「いや、楽しみです」
「会長のシェフの方の腕は聞いていますぞ」
「一体どの様な味か」
「期待していますよ」
「はい」
 確かな声でだ、菊池は二人に応えた。
「では今日のお昼は」
「三人で、ですね」
「楽しむのですね」
「そうしましょう」
 こうしてだった、三人で昨日と同じメニューを食べた。
 メニューは確かに同じだった、だが。
 共に食べる二人は常にだ、その料理を食べる度に笑顔で言っていた。
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