第一章
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最高のご馳走
かつて美食倶楽部という資産家達が集まってとかく美味しいものを食べて回る集まりがあった。
それを模してかだ、菊池潤一郎は友人達を集めてだった。
美食倶楽部なるものを立ち上げてだ、その友人達に笑って言った。
「この世の美味しいものを食べ続けよう」
「世界中の美味いものを」
「食べて食べて食べまくる」
「そうすべきというんだね」
「だからこそのこの会を立ち上げた」
「名前もそうしたんだ」
その美食倶楽部にあやかってとだ、菊池はその丸々とした力士並の身体で言う。こう見えても食欲を出す為に毎日二キロの水泳を欠かしてはいない。
「あの伝説の美食倶楽部の様に」
「美味しいものを食べ尽くす」
「そうしていくか」
「そうした会か」
「そうだよ、そしてね」
さらに言う菊池だった。
「あの美食倶楽部は明治の頃のものだったね」
「うん、汽車で東京から京都まで行ってすっぽんを食べたりしていたね」
「それを当時は無茶な道楽と言っていたが」
「今は違うね」
「ある元野球監督の息子さんがそうしたことをしていたね」
好物の湯豆腐を食べに新幹線に乗って行ったという。
「今はもうそれも普通だよ」
「普通にそうしているよ」
「時代は変わった」
「世界のあちこちにも行ける様になった」
「本場のどの料理も食べられる様になった」
「実にいいことだ」
「では我々は世界を回ってだ」
菊池は確かな顔でだ、こう言ったのだった。
「美味しいものをy食べて回ろう」
「この金の許す限り」
「食べて食べて食べまくる」
「あらゆる美味いものを食べ尽くす」
「そうするか」
「美食倶楽部はここに甦り」
そしてとだ、今度は芝居がかった強い声で言った。
「あの時よりも遥かに発展して再起動するのだよ」
「よし、ではね」
「食べて食べて食べていこう」
「世界中で」
「美味しいものを食べ尽くすのだ」
菊池も彼が募った会員達も誓い合う、皆収入のある立場だったので金には困っていなかった。それでだ。
時間的な余裕がある時にそれぞれ参加して世界各地を巡ってとかく食べていった。和食だけでなく中華料理もタイ料理もベトナム料理も食べ無論フランスにもイタリアにもスペインにもドイツにも足を運んだ。トルコにも行きアメリカやメキシコでも食べた。
新幹線で東京から京都まで行きすっぽんを食べてだ、菊池は友人達に笑って言った。
「さて、この食べ方はね」
「美食倶楽部がしたね」
「我々の偉大なる先人達が」
「実際にしたね」
「この様に」
「そう、こうしてね」
まさにというのだ。
「してね」
「食べていたね」
「そして今は我々がした」
「しかし当時は汽車だったが今は新幹線だ」
「
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