第一章
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幸せは歩いて渡る
真壁真希は外見は俊敏そうに見える、背は一八〇で高く黒い眉は斜め上に伸びていて二重の瞳は優しげだが強い光を放っている。ピンクの唇は厚めで一文字で鼻の形もしっかりしている。ショートの黒髪が細面によく似合っていて引き締まった体格をしている。
通っている高校でテニス部に所属しているが。
ランニング中に石につまづいてこけた彼にだ、同級生の部員達は呆れて言った。
「おいおいまたか」
「あいつまたこけたのか」
「本当によくこけるな」
「そうだよな」
こう話すのだった。
「何かあればな」
「こけたりもの落としたり」
「ドン臭いよな」
「要領も悪いしな」
「そうそう、すぐに失敗してな」
「掃除も遅くて」
「とにかくドン臭いな」
「だからまたこけるんだよ」
皆やれやれといって言う、そして。
起き上がってまた走りだす彼のところに来てだ、呆れながらも尋ねた。
「大丈夫か?」
「怪我ないか?」
「しっかりしろよ」
「すりむいたりしてないよな」
「ああ、何とかな」
真希は再び走りはじめつつ彼等に答えた。
「すりむいてもないし痛くもないよ」
「だといいけれどな」
「こけて怪我とか洒落になってないからな」
「そこは気をつけろよ」
「殆ど毎日こけてるけれどな」
「大丈夫だかな」
これが真希の返事だった。
「本当に」
「だといいがな」
「じゃあ走ろうな」
「最後までな」
何だかんだで彼をフォローしつつだ、部員達は彼と共に走った。真希はこの様にこけたりものを落としたりしてばかりだがだ。
部活には毎日出ていた、そのうえで学業も頑張っていた。
その彼を見てだ、女子テニス部にいる一年生の優木リンは首を傾げさせた。そのうえで二年のテニス部の先輩達に尋ねた。女子のだ。
「あの、真壁先輩ですけれど」
「あの子がどうしたの?」
「もう彼女いるわよ」
「だからコクっても無理よ」
「浮気とかもしない子よ」
「というか彼女いるんですか、あんな人に」
リンはこのことにまずは驚いた。
「あんなドン臭い人に」
「どうしてあんなにドン臭いかっていうのね」
「それで人気があるのか」
「皆から嫌われてないのか」
「あの人滅茶苦茶ドン臭いじゃないですか」
実際にこう言ったリンだった。
「それもかなり」
「ええ、確かにドン臭いわ」
「有り得ない位にね」
「私同じクラスだけれどクラスでもあんなのよ」
こう言う先輩もいた。
「しょっちゅうこけてもの落とすわよ」
「それで何で嫌われてないんですか」
「だって性格いいから」
それでとだ、その先輩はリンに答えた。リンのハーフ、父が日本人で母がアメリカ人のそれ特有の黒く長い髪に蒲鉾形の瞳と大きく
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