第三章
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「そうしています」
「そうですか」
「そうです、何があっても」
「だから守ってるんですか」
「このことは」
「それでこのお家も」
「柱は逆にしないです」
順にするというのだ。
「そうしています」
「そうですか」
「はい、こうして」
まさにというのだ。
「守っています」
「若し逆さにすれば」
「奥さんにもご主人にもいいことはありません」
「嫌なことばかり起こる家に住んで」
「ですからこうします」
柱を順に立てるというのだ。
「くれぐれも。ご安心して下さい」
「わかりました」
真弓は池田のその言葉に頷いた、そのうえで。
家の柱が順に立てられていくのを見守った、その後でだった。
真弓はこの日の建築が終わり今は仮の住居にしているアパートに戻った、そして仕事から帰った夫に自分が作った夕食を出しながらその話をした。
するとだ、哲章は真弓に怪訝な顔になってこう言った。
「それはまた変な話だな」
「あなたもそう思うわよね」
「全くだ」
本当にというのだった。
「そんな話があるんだな」
「家の柱は逆さにしたら駄目なのね」
「そうなんだな」
「若しも本当に家の柱を逆さにして立てたら」
その時はとだ、真弓は哲章に問うた。
「家に嫌なことばかり起こるっていうけれど」
「具体的にはな」
「どんなことが起こるのかしら」
「そこが気になるか?」
「何かね」
好奇心を出しての言葉だった。
「本当かしらって」
「そう言うとな」
哲章はおかずの鯵の開きを食べつつ妻に答えた。
「俺もな」
「本当かどうか」
「気になるな」
彼にしてもというのだ。
「本当なのかってな」
「そうよね、うちの柱はもう立ったけれど」
順にだ。
「逆さになるのか」
「本当にな」
「確かめたいわね」
「池田さんに聞くか?」
「そうする?」
「ああ、俺も暇な時にな」
ふたりでというのだ。
「池田さんに聞こうな」
「それじゃあね」
こう二人で話してだった、哲章は彼の休日に妻と一緒に家が建てられていく現場まで行ってそのうえでだった。
池田に家の柱のことを聞いた、すると。
池田はすぐにだ、夫婦にこう答えた。
「それなら実際を観た方がいいですね」
「実際をですか」
「わし等そうした家も知ってまして」
それでというのだ。
「その家を紹介させもらいます」
「その家は何処にありますか?」
哲章は怪訝な顔になって池田にまた問うた。
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