732部分:第百十話 薔薇の毒その三
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第百十話 薔薇の毒その三
「そしてそれと共に力もまた」
「力も正義だというのだな」
「正義は何によって立つのか」
問題はそれだった。
「ただ理想だけによって立つものではありません」
「その通りだ」
ミシェイルもまさにその通りだという。アーレスに仕える者としては頷くべき話であった。
「力こそ正義だ」
「はい」
「まさか聖闘士にそう考えている者がいるとはな」
「それは私だけではありません」
しかも彼だけではないというのである。
「私の他にもキャンサーのデスマスク、そしてカプリコーンのシュラ」
「あの者達もか」
「そして私もまた。我等三人は力があってこその正義と考えているのだ。
「では何故だ。何故アテナの聖闘士なのだ」
「それが何故か、ですか」
「力を正義と考えているのなら」
それこそがまさに狂闘士の考えなのだ。力を正義と考えることがだ。
「それで何故狂闘士とならない」
「それです。何度も言いますが我々の正義の元は人です」
それだというのである。
「アーレスではありません。むしろ」
「むしろか」
「傲慢な神は我々の最も忌み嫌うもの」
こう話すのだ。
「だからこそです」
「我等狂闘士とはならないか」
「そういうことです。我々は人の正義、そしてそれを守るアテナの正義に仕えているのです」
「それはその二人も同じか。確か」
ミシェイルは名前を忘れたわけではない。あえて一呼吸置いたのである。そうしてそのうえでその二人の名前を出してみせたのだ。
「キャンサーとカプリコーンか」
「デスマスクは素直ではありませんしシュラは寡黙です」
流石に二人のことはよくわかっているアフロディーテだった。
「ですが彼等もまた黄金聖闘士です。何度も生まれ変わりそのうえでアテナの聖闘士として戦い続けているのですから」
「筋金入りというわけか」
「貴方達が何があろうともアーレスに仕えているのと同じです」
そのこととも例えるのだった。
「そういうことです」
「そういうことならわかった」
ここまで聞いてであった。頷くミシェイルだった。
「信念か」
「聖闘士は信念によって立つもの」
アフロディーテはミシェイルを見据えながら話す。
「貴方達と同じです」
「奇妙だな。戦っているというのに頷ける」
ミシェイルはアフロディーテのその言葉を聞きながら静かに述べた。
「それは他の同志達も同じだろうな」
「八大公のですか」
「そして貴様等黄金聖闘士達もだ」
「そうですね。私にもそれはわかります」
アフロディーテはここでも述べた。
「我々の戦いは信念と信念の戦いです」
「そうだな。どちらの信念が勝利を収めるかだ」
「その戦いだな。それでは」
先に動いたのはミシェイルだった。その
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