第20夜 口伝
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もない。出来る人間は人並み以上にそういった気配を察するのが早い。恐らくギルティーネは従来の察しの良さに加え、地形的に呪獣が上から仕掛けてくる可能性を憂慮していたから気付くのが早かったものと思われる。
(この直後、ギルティーネさんは俺を捕まえて撤退を開始した……)
これに関しては先述の通り戦闘に勝利することが難しかったか、もしくはトレックを護衛しつつの撃破が困難だと判断したことが考えられる。また、敵の呪獣の情報も極端に少なかったために不確定要素の大きい戦闘を行うリスクを避けたかったのかもしれない。
敵が強いから逃げたことと、敵の能力が不明だから逃げたことは意味合いが大きく異なる。
敵との戦力差故に逃げるのは、状況と戦力を鑑みて相手を倒せない状況のとき。
対して能力が不明だから逃げるのは、仕掛けるには判断材料が少ないとき。
前者は敵が手ごわいことの証左だが、後者は相手の能力の強弱さえ不明だ。
つまり、対策を立てることが出来れば討伐が容易である可能性が残されている。
(一つ気になる事もある。ギルティーネさんの逃走ルートが解せない……あの時も思ったが、敵は外灯の上方から攻撃を仕掛けてきていた。ならばわざわざ高低差で不利になる外灯の真下じゃなくて外灯から離れて移動すればよかったんじゃないのか?)
ギルティーネがパニック状態になってその事実に気付けなかったか、その発想に咄嗟に至らなかった可能性はある。また、あの場にはドレッドとステディもいたことから、移動で出遅れた方に敵が行くという公算があったのかもしれない。もしそうならば、その狙いは大いに外れていただろう。あの敵は少なくとも途中まではこちらを追跡してきた。
失敗だと言ってしまえば話はそれまでだが、本当にギルティーネが判断を誤ったのかどうかは確認の仕様がない。本人は弁明するための意思表示を一切できないようだし、本当は正しかったとしても具体的な理論は本人しか分からない。
現在の情報から浮かび上がる敵の情報は以下の通りだ。
外見は黒と紫の斑模様であること以外不明。
柱の陰に隠れられることからサイズは中型か小型と推定。
外灯と外灯を正確に飛び移る跳躍力と俊敏性を持ち、リーチは最低でも6メートル。
攻撃方法は不明だが、状況からして事実上の一撃必殺と推定。
恐らくは待ち伏せ型で派手には行動しないが、目についたターゲットの追撃は行う。
発砲した銃弾が掠った際に悲鳴を上げたため、『鎧の呪獣』のような防御手段を持つ可能性は低。
「………情報が足りないな」
ソファにもたれかかりながら指をを組んで考える。
考えない呪法師は早死にする。判断の遅い呪法師も早死にする。
既に作戦を考え始めてはいるものの、不確定要素が邪魔をして
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