多摩は煮込みで温まる?・その3
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ゃくの下拵え。味が染みやすいように隠し包丁を入れるのだが、その時の秘密兵器がフォーク。フォークの先を立てて縦横に傷を付けてやれば隠し包丁の代わりになる。傷を付けたら1〜2cm角の大きさにカットしていく。
カットしたこんにゃくを5分下茹で。その間に圧力鍋の圧が抜けたので、ザルにあけて再び流水で牛スジを洗う。洗い終わった牛スジは、一口大に刻んでいく。
牛スジを刻み終わったら、いよいよ味を染み込ませる煮込みの段階に移る。鍋に鰹出汁、味噌、砂糖、みりん、酒を入れ、火にかける。味噌が溶けたら牛スジとこんにゃくを加えて煮込む。
沸騰したら弱火にして10分、焦げないように適宜かき混ぜながら煮込む。ウチではこのあと冷蔵庫等で一晩寝かせるが、早く食べたい時には鍋ごと氷水に浸けて冷やす。何度も語っているが、煮物は冷めるときに味が染みる。冷ます、という作業は一見無駄に見えるかも知れんが、美味い煮物が食いたいなら欠かせない作業だ。そして食べる時に再加熱すればOKだ。
「そういえば、ねーちゃんはどうしてるにゃ?」
「あ〜、球磨姉ぇ?多摩姉ぇと入れ替わりで仕事に出てったよ〜」
そう、多摩に負けず劣らず球磨も護衛に引っ張りだこである。
「どこ行ったにゃ?」
「ラバウルだってー。ついでに技研によって、何か受け取ってくるらしいよ?」
そう、球磨に行かせたのはラバウル技研に用事があったからだ。
「へぇー?もしかして新しい装備とか?」
「当たらずとも遠からず、だな。軽巡の改二艤装が新しくロールアウトしたって連絡が入ってな……取りに行ってもらう事にした」
「ねぇねぇ、軽巡の誰よ〜?もしかして姉ちゃんのどっちか?」
「残念、長良型だ」
会話を交わしながら温めていたどて焼きが温まった。あまりとろみがキツいようなら水を足して調整しなければならないが、今回は必要なさそうだ。
「ほいお待ちどうさん、『どて焼き』にビールね」
「待ってたよ〜頂きまーす!」
ホクホク顔の北上が、どて焼きを頬張り、ビールを煽る。
「いいねいいねぇ、沁み渡るねぇ〜♪」
その顔はどこまでも幸せそうだ。多摩もその隣でうまそうにどて焼きをつついている。
「ねぇ提督〜、また注文いい?」
「おぅ、何が食いたいんだ?」
「じゃあねぇ……もつ鍋!」
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