提督の刀と『深海鋼』
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日本刀の刃というのは鋼の鈍い銀色をしている物だが、その刀の刃の色は、漆黒という言葉がピタリとはまる、どす黒い色をしていた。
「奴等の細胞やら怨念が詰まってんのか知らねぇが、この色にしかならなくてな。他にも同じ鋼材で造った得物を持たせてる奴は沢山いるんだ、この鎮守府にはな」
そう、新人教育が終わる度に、この鎮守府ではそれぞれの戦法に合わせた接近戦闘用の得物を贈られ、そして使ってきたのだ。恐らくは深海鋼で出来た物を、艦娘本人達は知らず知らずの内に。
「まぁ、ゲス野郎だよな俺ぁ。否定はしねぇさ。それでも尚、俺はお前らを生かす為なら何でもする」
そのギラつく眼の奥には、何か焔のような物がチラつく。何か執念にも似たその思いは、どこから沸き上がる物なのか。
「さて、御託はそろそろ止めだ。俺は殺しゃしねぇから安心しな……但し木曾、お前は俺を殺す気でかかってこい」
提督は鞘を腰に挿すと、刀を腰だめに構えてトーントーンと2、3度ジャンプして身体を脱力させ、ピタリと止まる。木曾も軍刀を正眼に構えると、道場内に静寂が流れる。そして始めの合図がかかる事もなく唐突に立ち合いが始まった。
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