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提督はBarにいる。
オトコ持ちのから騒ぎ!?・その3
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ー……」




      《足柄と彼氏の場合》

    〜とある日の鎮守府・お昼頃〜

「あ、いたいた。足柄さ〜ん!」

 昼休憩に入ったらしい工廠から、手を振りながら足柄の方に一人の青年が駆け寄ってくる。彼こそ鎮守府で陰ながら『熟れた狼』と揶揄されていた足柄のハートを射止めた整備員の彼氏であった。

「もう!午前の作業終わったらお昼一緒に食べたいから、すぐに出て来てねって言ったでしょ!?」

「いやぁスイマセン、艤装の整備に手間取っちゃって…」

 申し訳なさそうに頭をポリポリと掻く青年。少し気弱な所のある彼は、押しの強い足柄の尻に敷かれているらしい。

『仕事熱心なのは高評価だけど、他の娘の事を熱心に見てたのは頂けないわね……ご飯の後に問い詰めなくちゃ!』

 そう密かに決意する足柄。実は足柄、自分では気付いていないが束縛したがりな女だったのだ。嫉妬深く、怒ると怖いタイプである。

「さぁ、食堂行きましょうか」

「あ、待って!今日はね…その……お弁当作ってきたの!だから、どこか眺めのいい所で食べない?」

「良いですねぇ、それならとっておきの場所がありますよ」

 そう言って青年は足柄の手を取り、先程出てきた工廠へと踵を返した。

「ちょ、ちょっとどこ行くの!」

「いいから、ついてきて下さい」

 青年に引っ張られるままに足柄が辿り着いたのは、工廠の屋上。学校の校舎の屋上のように平面なそこは、鎮守府全体はもとより、海と街並みがパノラマで見渡せる景色のいい場所だった。

「ね、いい場所でしょう?」

 青年は優しそうにニッコリと笑っている。

「たまに酒保で昼飯買って、ここで食べてるんですよ。さぁ、お弁当食べましょう」

「え、えぇそうね」

 足柄が景色に見惚れて、ちょっとボーッとしてしまっていたのは内緒だ。

「うわ、凄く美味しそうじゃないですか!」

 青年から歓声が上がる。弁当の中身は唐揚げに卵焼き、ミニトマトにブロッコリーと彩り豊かで定番的な弁当だが、足柄が朝早くから起きて丁寧に作り上げた一品である。

「ど……どうかな?」

「凄く美味しい!」

 ガツガツと食べ進めている青年を見て、嬉しそうな顔を見せる足柄。

「あ、そうそうさっきの話!」

「ん?さっきの話?」

「さっき言ってた艤装の整備に熱中してたって話よ!」

「あぁ。あれ足柄さんの艤装ですよ」

「へっ?」

「昨日足柄さんは大破して帰ってきたでしょ?だからちゃんと直して、整備すれば足柄さんの怪我する事が減るかと思って」

 はにかみながら笑う青年に対し、足柄は真っ赤になって酸欠の魚のように口をパクパクとさせていたーー。
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