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提督はBarにいる。
提督と艦娘達の夏休み〜浜遊び編・4〜
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動かないように左手で沖波の腕を抑えつつ、顔を寄せて右手で海草を摘まみにかかる。

「ししし、司令官!?ふあぁ…近いぃ……近いですってばぁ司令官!」

 沖波は何か気恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしながらイヤイヤと悶えている。大きく動くせいで摘まみにくい。仕方ない、あんまりやりたくはなかったが…

「沖波」

「ふゃいっ!?」

 瞬間、動く顔の顎を左手で掴み、クイッと持ち上げて固定した。いわゆる『顎クイ』状態であるため、周りのおませな連中からキャーキャー悲鳴が上がる。

「ちょっとの辛抱だ、動くなよ?」

「ふ、ふぁい……」

 うっすらと涙を浮かべて顔を真っ赤にしながらプルプルと小刻みに震える沖波。……あれ、何かこれ俺が悪いことしてるように見えるんだが?まぁ、細けぇ事は気にせずに髪に絡まった海草を摘まんだ瞬間、

「させませんっ!」

「うぐぉっ!?」

 誰かの腕が俺の首に巻き付いて来た。そして背中に当たるポヨポヨとした感触、間違いなくオッパイだ。というか首に巻き付いた腕が絶妙に極って締まって来ている。正直、苦しい。沖波の髪に絡まった海草を摘まんだまま、後ろによろけてそのまま意識を手放した。




「あたたたた……ここは?」

「あ、気が付いた。全く、何やってんですか提督」

 気付くと俺は、海の家ではなく鎮守府内の医務室にいた。傍らには白衣を羽織った明石と、

「うあぁ〜ん、提督生きてたぁ!よかったあぁぁ〜!」

 と、涙やら色んな体液で顔がグチャグチャになりながら俺に抱き付いている榛名の姿があった。

「えぇと、状況説明してもらっていいか?」

「仕方ないですねぇ」

 はぁ、と溜め息を吐いた明石によると、長波が明石を呼びに来て海の家に向かった時には、白目を剥いた俺と泣きじゃくる榛名、唖然とする夕雲姉妹と扶桑が居たらしい。詳しく聞くと、

『提督が沖波ちゃんにキスしようとしてたのに嫉妬して、止めようとしてチョークスリーパーかけてしまった』

 と榛名が語ったらしい。あの後ろから抱き付いて(?)来たのは榛名だったのか。……というか、俺は沖波にキスしようとなんてしてないんですがそれは。それに俺を止めるならチョーク以外にもやり方はあっただろうに。

「あ〜、それなんですが。榛名さん酔っ払ってたみたいでして」

 なんでも、夕雲達の相手をしている間手持ち無沙汰だった榛名は棚からお酒を少しずつ飲んでいて、知らず知らずの内に泥酔していたらしい。それで正常な判断も、力加減も利かなかったらしい。

「もう少し構ってあげて下さいよ?榛名さんだって嫁艦なんですから」

「……すまんとしか言い様がねぇ」

 んじゃごゆっくり、と言いながら明石が医務室を出ていった。
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