729部分:第百九話 黄泉比良坂その三
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第百九話 黄泉比良坂その三
「ベルゼブブ、手前を倒せる!行くぜ!」
その戦士達と動きを合わせてだった。今攻撃を放った。
「喰らいやがれっ!」
「くっ!」
これまでの無数の戦士達の攻撃を受けてはだ。如何にカナンといえど耐えられるものではなかった。瞬く間に吹き飛ばされてしまう。
場が戻った。あの玄室にだ。カナンはその床に叩きつけられてしまった。最早立ち上がることは出来なかった。勝敗は明らかであった。
「まさかこれだけの技を持っているとはな」
「正直命懸けの技だがな」
見ればデスマスクは憔悴しきっている。今にも倒れようとしている。
しかし何とか己の両足で立ちだ。そのうえで言うのである。
「それでも生きているぜ」
「それでもか」
「使って三年寿命が縮むとはないがな」
「そういう技ではないか」
「一歩間違えれば俺自身が死ぬ」
デスマスクは言った。
「そういう技さ」
「それをあえて使ったか」
「手前を倒そうと思えばな」
「その技しかなかった」
「積尸気転霊波以外にはな」
「最初の闘いな」
あのドイツでの戦いのことを言う。
「それはわかっていたさ」
「あの時でか」
「これまでの技では倒せなかった」
「私はか」
「積尸気冥界波でもな」
彼にとっての最大の技だ。少なくとも今まではそう思われていた。
「倒せないとわかったならばだ」
「それはできないとわかればか」
「この技しかない」
彼は言った。
「手前を倒すにはな」
「私はそれだけの者だったというのだな」
「その通りさ。俺は俺の命も賭ける」
その目の光は確かなものだった。偽りを言っているものではない。
「勝利を手に入れる為にはな」
「アテナの為にか」
「そういうことになるな。じゃあな」
ここまで話しての言葉だった。
「ベルゼブブ、安心してあの世に行け」
「キャンサーよ」
カナンは己の前に立つデスマスクに対して告げた。
「貴様に一つ言っておく」
「何だってんだ?」
「立て」
告げた言葉はこれであった。
「しっかりとだ。ふらつくことなぞするな」
「へっ、言う言葉はそれかよ」
「そうだ。それだ」
「何だ?それでそう言う理由は」
「私を倒した男がふらつくものではない」
だからだというのである。
「しかと立ちだ。次の戦いに向かうがいい」
「だからか」
「そうだ、だからだ」
これがカナンの言葉だった。倒れてはいてもそれでもだ。彼はまだ心は立っていた。敗れてはいてもそれでも心は立っているのである。
「わかったな」
「わかったと答えてやるぜ。じゃあな」
「そして行け」
またデスマスクに告げた。
「次の戦いにだ」
「アーレスの野郎とのか」
「アーレス様は貴様等では勝てはしな
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