729部分:第百九話 黄泉比良坂その三
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
い」
「まだそう言えるのかよ」
「これは絶対のことだ。アーレス様は倒されはしない」
倒れていてもその言葉には絶対の響きがあった。
「我等の主は。人には倒されはしない」
「その言葉は聞き入れねえぜ」
デスマスクは今のカナンの言葉にはこう返すのだった。
「生憎だがな」
「ふふふ、それでもいい」
「いいのかよ」
「貴様らしくてな」
そうだというカナンだった。
「それでいい。だがアーレス様はだ」
「だからその言葉は聞かねえって言ってるさろ?」
「そうだな。ではだ」
「へっ、俺達は負けるつもりはねえからな」
言いながらだった。今彼はまた戦いの場に向かおうとする。足取りはあえてしっかりとしたものにさせている。無理をしてでもだ。
「じゃあな」
「私の言葉はそこは聞いているか」
「馬鹿言え。俺を誰だと思ってるんだ?」
既に彼に背を向けていた。しかしここで立ち止まったのである。
そのうえで彼に顔を向けてだ。こう言ってみせたのだ。
「デスマスクだぜ」
「キャンサーのか」
「そうさ、黄金聖闘士のな」
そうだというのだ。
「その俺が負けるものかよ」
「その言葉、決して現実のものとはならぬがな」
「手前だけさ、そう思ってるのはな」
「そう言えるのだな」
「幾らでもな。じゃあな」
ここまで話して顔を前に戻した。そうしてだった。
「安心してあの世に行け」
デスマスクはその場を後にした。顔を前に戻して歩きはじめた。後に残ったのはカナンだけだったが彼も事切れた。それで終わりであった。
第百九話 完
2010・4・2
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ