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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
729部分:第百九話 黄泉比良坂その三
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い」
「まだそう言えるのかよ」
「これは絶対のことだ。アーレス様は倒されはしない」
 倒れていてもその言葉には絶対の響きがあった。
「我等の主は。人には倒されはしない」
「その言葉は聞き入れねえぜ」
 デスマスクは今のカナンの言葉にはこう返すのだった。
「生憎だがな」
「ふふふ、それでもいい」
「いいのかよ」
「貴様らしくてな」
 そうだというカナンだった。
「それでいい。だがアーレス様はだ」
「だからその言葉は聞かねえって言ってるさろ?」
「そうだな。ではだ」
「へっ、俺達は負けるつもりはねえからな」
 言いながらだった。今彼はまた戦いの場に向かおうとする。足取りはあえてしっかりとしたものにさせている。無理をしてでもだ。
「じゃあな」
「私の言葉はそこは聞いているか」
「馬鹿言え。俺を誰だと思ってるんだ?」
 既に彼に背を向けていた。しかしここで立ち止まったのである。
 そのうえで彼に顔を向けてだ。こう言ってみせたのだ。
「デスマスクだぜ」
「キャンサーのか」
「そうさ、黄金聖闘士のな」
 そうだというのだ。
「その俺が負けるものかよ」
「その言葉、決して現実のものとはならぬがな」
「手前だけさ、そう思ってるのはな」
「そう言えるのだな」
「幾らでもな。じゃあな」
 ここまで話して顔を前に戻した。そうしてだった。
「安心してあの世に行け」
 デスマスクはその場を後にした。顔を前に戻して歩きはじめた。後に残ったのはカナンだけだったが彼も事切れた。それで終わりであった。


第百九話   完


               2010・4・2

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