強き竜
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
いるマリキスを見据える。彼は自在に空を舞うことができるセシリーを捉えることができなかったが、その厄介な存在が下がってくれたことにどことなく安堵しているようだった。
「お前なら、楽に対処できそうだな」
「カッチン!!」
あたしを見た彼は余裕綽々といった表情を見せており、思わずキレそうになってしまう。でも、セシリーが後ろから肩を掴んで揺すってくれ、彼女の方を振り返ると落ち着いてと言葉をかけてくれた。
「僕はシャルルを守ってるから、お願いね〜」
「うん。ありがとう」
傷を癒したと言っても、シャルルはまだダメージが大きくて目覚めることができない。セシリーも攪乱はできるけど、戦うとなると決め手に欠くからあまり前に出ることはできない。
「あたしが必ず、こいつを倒してみせる!!」
一対一。あたしの力を証明するには十分な条件。それに、さっきまで押されてしまっていたから、今度はそれをやり返さないと気が済まない。
「風よ風よ!!大地を抉り、空に踊らせよ!!」
両腕に風を纏わせ、敵に狙いを定める。相手は動きが機敏だ。だから極力ロスをなくして魔法を撃ち込まないと交わされちゃう。
「天神の舞!!」
まずは台風のような渦を巻き起こし動きを限定する。それからあたしの得意とする魔法を擁して相手を押していかないと。
「よっと」
予想通り最小限の動きで黒い風を回避するマリキス。その方向を見極めてから、次の攻めを放つ。
「天神の北風!!」
逃げたばかりで追撃を浴びせる。相手の動きが機敏なのはわかっているけど、これなら当たることくらいはできるはず。
「チッ!!」
これまた狙い通り。相手は前後に揺さぶられて動きが限定され、あたしの攻めを逃げることができなかった。
「一気に押し切る!!」
このまま攻めまくれば勝つことができる。そう感じたあたしは前に出て技を繰り出すことにした。
「いい魔法だが、残念だったな」
「!!」
接近戦に持ち込もうとしたあたしを見てニヤリと笑みを溢しているマリキス。それを見てから気付いた。相手は攻撃を腕で受けることでダメージを最小限に抑えていたんだということを。
「ホラよ」
「うっ!!」
それに驚いて動きが遅くなったのを相手は見逃さなかった。ダメージを受けた腕ではなく足を脇腹を蹴ってくる。せっかくのチャンスを逃してしまったあたしはピンチに陥ってしまった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ