強き竜
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ウェンディさんに意識を戻すことはできなかった。背後を取った天空の巫女は大男の背中に全力の拳を突き立てる。
「くそっ」
強靭な肉体を持っているであろう彼でも覚醒した少女の重たい一撃に耐えることはできない。前に倒れ込み武器を勢いで手放した彼は、手を伸ばしても届かないところにいった相棒を見て思わず顔を俯ける。
「これで決めます」
腕を振るうと地面に伏している男性の周りを囲むように風が吹き荒れてくる。それを見た私は、以前見たことがあるそれに思わず頬が緩んでしまう。
「これって確か・・・」
大観衆の中で見せ付けられた彼女の最強の魔法。それをまた・・・しかもこんな間近で見ることができるなんて、嬉しくて仕方ない。
「滅竜奥義!!」
かつて世界を支配したと言われているドラゴンを滅するために生み出された滅竜魔法。その中でも最も竜を倒すのに適している究極の魔法。
「照破・天空穿!!」
台風のような風が少女の手から放たれる。風の結界により逃げ場を封じられ、武器も落としてしまったイネスに、それを防ぐ術はなかった。
「ぐあああああ!!」
空中に打ち上げられ、地面が沈み込むほどに叩き付けられる。ウェンディさんの最高の魔法を受けた彼は、そのまま口を開けて意識を失っていた。
「やったぁ!!ウェンディさんすごいです!!超かっこ良かったです!!」
ここまで相手に何もさせることなく勝利を納めたウェンディさんを見て興奮した私は両手を上げて走りよっていく。でも、普段の藍色の髪に戻った彼女は、フラフラとし始めると、地面に頭から落下していきそうになります。
「ヤッバ!!」
今の彼女は身体中に傷がたくさんある。そんなので倒れたら、本当に笑えない事態になりかねない。でも、距離を取っていたために私の脚力じゃとても間に合いそうにない。
「ウェンディさん!!」
もう顔が地面につくまでほんの少し。せっかく勝ったのに、こんなのって・・・
ガシッ
半ば諦めかけていたその時、落下していた少女の体が止まります。その理由は、同じくらいの身の丈の人物がそれを支えていたから。
「ウェンディ!?大丈夫!?」
その人物とはウェンディさんの彼女のシリル先輩。いいところで出てきてくれた彼を見て、ホッとしてその場に崩れ落ちます。
「シリル・・・」
「うん。大丈夫?」
「うん・・・平気・・・」
大好きな人の顔を見て、安堵の表情を溢したウェンディさんはそのまま眠ってしまいました。でも、傷だらけの恋人を見た彼女は心配で顔が真っ青です。
「シリル先輩!!すぐに治癒を・・・って!!先輩もすごい傷!?」
治癒の魔法を使えるシリル先輩にウェンディさんを治してもらおうとしたら、彼女もボロボロだった
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