暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 神速の人狼
ー 平和な日常 ー
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「むぅ〜〜〜〜!」
「こら、ユイ! 暴れるな!」
「……………………………」

メッセージを受け取った次の日、二十二層に引っ越してきたキリト達のホームを訪れていたユーリは、かつてないほどの危機に見舞われていた。 と同時にどうしてこう厄介ごとが向こうからやってくるのか、と自問自答を繰り返し、深くため息を吐き出した。 そして、今一度現在悩みの種となっているキリトの膝上を占拠している黒髪の少女ユイを見た。

くりりとした黒の瞳は、獲物を逃さないとばかりにある一点に向けられ、四肢は触らせろ!と主張するかの如く暴れている。 だが、それはお腹に回された腕がそれ以上の行為を許さない。 かたや幼女、かたや攻略組きってのハイレベル剣士。 力の差は歴然であり、ジタバタと暴れる幼女はキリトのお膝の上へとしっかりと座らされていた。 もしも、ユイを固定するロックが外れた場合には、弾丸の如くユーリへとツッコミ、容赦なく欲望のままに一目に極上の代物とわかる犬耳や尻尾をモフりにかかるであろう。 最悪の結末を思い浮かべてしまい、ユーリは悪寒にぶるりと体を震わせた。

「もういっそのこと、触らせてあげたら? てか、わたしが触りたい!」

シュバッと挙手をしながら、発言するシィはいつも通り楽しげで、その隣ではアスナが困ったような曖昧な笑みを浮かべていた。 味方が全くいない状況にユーリは嘆くように何度目かわからないため息を吐き出した。


あれから、実力行使から懇願へと手段を切り替えたユイは数十分に及ぶ説得の末に「強く握らない」という条件付きでふさふさとした柔らかな毛並の犬耳を触らせてもらっており、むふー、と息を吐くユイは極上の笑みを浮かべており、上機嫌なのは明らか。

一方で、触られるユーリは堪ったものではなく時折背中に走る悪寒に似たゾワゾワとした感覚を堪えながら、少女を拾った経緯について犬耳を傾けていた。 が、そわそわと落ち着きのないユーリの様子に気がついたアスナが心配そうな表情で訊ねる。

「えっと……ユーリ君、大丈夫?」
「大丈夫に見えるなら眼科に行く事を勧める……ていうか、もうそろそろいいだろ?」

皮肉を混じえつつ、もう限界です、と保護者(仮)へと訴えかけるが頭の上から聴こえてくるのは「もうちょっと!」と絶望的な響き。 そして諦めとも取れる深いため息を吐いたユーリに向けられるのは、保護者二人による同情の眼差しだ。 だが、この場に居て今まで静観を決め込んでいたーー、というより、アスナお手製のケーキを堪能していたシィはケーキの屑を払うと、よしっと立ち上がった。

「はいは〜い、ユイちゃん。 次はシィちゃんと遊ぼうね〜」
「む、むぅ〜〜っ!」

ユイの抵抗もなんのその。 ユーリの後頭部にへばりついていた少女をべりっと引き剥がすと
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