贖罪-エクスピエイション-part3/地下に眠る少女
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「鍵を開けよ、とな?」
魔法学院の学院長室にて、アニエスからある要求を受けたオスマンは耳を疑うように声を漏らした。
「ええ、この魔法学院には秘密の地下公文書館があると陛下から聞きました。その図書館には、表沙汰にできない…しかし公文書であるがゆえに処分できない資料を大量に保管しているとか。ならば、私が求めていた情報を持つ資料もそこに保管されているはずです」
アニエスは故郷を滅ぼした者たちへの復讐のために生きてきた。黒幕であるリッシュモンは、残念ながら同じく彼に憎しみを持っていたウェザリーにとられてしまったが、実行犯だけはなんとしても自分の手で殺さなければならない。肝心の実行犯の情報は、リッシュモンを突き止める知る機会さえも得られなかったが、この学院に隠されている地下図書館なら、ダングルテール事件の資料と、村を焼いた奴らの名前がわかるかもしれない。
いずれレコンキスタの野望を挫くため、アンリエッタはアルビオンへ出兵を命じることになる。その時は自分も参戦する。そうなれば、この機会は二度と来ないだろう。
「例の図書館への扉は特殊な魔法でロックされていて、通常のコモンマジックでは解除できないと聞いております。学院長、あなたのお力でどうか施錠を解除願いたい。ご覧の通り、許可証もいただいております」
アニエスはアンリエッタからもらった許可証をオスマンに見せた。これを見せつけられると、さすがのオスマンとて女王命令に従わざるを得ない。
…はずだったのだが、オスマンは予想に反して拒否してきた。
「……危険じゃ。あそこは千年以上前に造られ、防犯対策として特別な魔法の仕掛けや罠が施されておる。その詳細はわしにもわかっておらん」
「開けないとおっしゃるのか?」
「君は女王陛下の大切な片腕でもあるのじゃ。いくら陛下が許可したとしても、君の命を考えれば、それを易々と許可はできぬ」
「…ッ。私は騎士だ!死などいちいち恐れていられるか!」
アニエスは反発するが、それでもオスマンは許可を下そうとしなかった。苛立ちを募らせるアニエスを見て、オスマンは彼女に言葉をかけた。
「君の目を見ていると…やはり不安なのじゃよ」
「不安だと?私が死ぬことについて仰っているのか?先ほども申したが私は騎士で…」
だから死は恐れない。そう言おうとしたが、オスマンは遮るように言葉を続けた。
「騎士とかそういう問題ではない。君は騎士である以前に、一人の女性であり、人間じゃ。せっかく親からもらった命を無駄にしてはならぬ」
「女…それに親、だと!?私を侮辱しているのか!?それに貴様に、無残に殺された私の親や友…ダングルテールの皆の何がわかる!?」
女扱いされることは、騎士となった今の自分からすれば侮辱行為に等しいという認識に続き、殺されてしまったダングルテールの皆の事も引き合いに出された
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