贖罪-エクスピエイション-part3/地下に眠る少女
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「いや、嘘をついているのではないのか?お前のような幼い子供が、何の事情もなしに、魔法学院の地下で眠っていたなどありえんだろう」
「…そんなこと言われても、わかんないもん」
アニエスの気迫にリシュは怖気づき、シュウの影に隠れる。彼女が白であろうと黒であろうと、何があってもわからないとしか答えられないようだ。
「…コルベール、こいつはオスマン学院長に報告すべきだ」
「むぅ、そうだな。リシュ君のような小さな子供が学院の地下で眠っていたなど、ただ事ではないぞ」
「ッ…!」
少しばかり痺れを切らしたアニエスからの提案に、コルベールも同じ考えを抱き、彼女の案に賛成する。しかしその途端、リシュがシュウの服をぎゅっとつかんで身を強張らせた。
「…おい、そんなに服をつかむな」
「やだ…リシュをどこかに連れて行くの?いじめるの?」
その姿はひどく怯えきっていた。がたがたと身を震えさせている。演技というにはあまりに迫真すぎていて、彼女が嘘をついているとは思えなかった。
「別に、いじめようとしているわけじゃなくてだな…」
「リシュ、怖いよ……お願いだから…」
シュウが説明を入れてリシュを泣き止ませようとしたが、どうも伝わっていないのか、リシュは恐怖で目を潤ませながら懇願する。その時のシュウは彼女の脳裏に、戦いに赴こうとした自分を、泣きそうな顔で必死に引き留めようとした果てに…
――――足手まといなんだよ!
その一言で拒絶してしまった時の、ティファニアの悲しみに満ちた顔が蘇る。
「……………」
おそらく、テファと直接会ったら自分は彼女から逆に冷たい言葉を返されるかもしれない。もしかしたら、もう自分の近くに現れるな!といってくるかもしれない。でも…それでもいいだろう。
自分はどうせ、優しくされていいような人間ではない。
…そのように自分を認識しているのに、今更ながら罪悪感がわいてしまった。しかもリシュは、偶然にも声が少しテファと似ている。目を閉ざし、耳を澄ませたら、幼い子供になった彼女自身のようにも聞こえた。
「ねぇ、隊長さん。この子のこと、今はそっとしておいてあげるべきじゃなくて?急を要したら、かえってこの子が怖がっちゃうわ」
「何を言っているんだ。まだこの娘が何者かが…」
「ふむ、ミス・ツェルプストーの言うとおりだな…アニエス君。今日のところは皆、休むとしよう。オールド・オスマンもすでにお休みのはずだ」
「…仕方あるまい」
報告する相手であるオスマンが休んでいるというのなら、確かに何も言うことができない。コルベールに同意されているというのが気に食わないが、アニエスは今日のところはリシュのことを無理に報告しないことにした。
ふと、タバサがシュウに向けて尋ねてくる。
「…今日は、どうするの?」
「?どう、とは?」
「この子
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