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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
贖罪-エクスピエイション-part3/地下に眠る少女
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少女は差し出された彼の上着を羽織った。身一つ来ていないせいか、少女はその薄い上着でも温かく感じたのか、ほっこりしたような表情を浮かべて彼の上着に身をくるんだ。着心地が良かったらしい。

ひとまず二人は、この少女をどこか別の場所へ連れて話を聞くことにした。


「地下にこのような少女が眠っていたというのかね?」
すぐに頼ることができたコルベールに事情を説明し、それをシュウから聞いたコルベールは驚いた。しかしまさか、学院の地下にこんな幼い少女が眠っていたなんて。考えてみれば事件だ。
ちなみに地下で見つけた少女だが、今はシュウが貸してあげた上着ではなく、タバサが用意してくれた服に着替えさせた。
「コルベール、学院の教師であるお前なら何か知っているのではないのか?」
アニエスがコルベールに知っていることを話すように求めるが、コルベールは首を横に振る。
「残念だが私は何も知らないんだ」
コルベールも知らなかったらしい。まあ、こいつの情報など宛にならないとアニエスは断じた。
「私それなりに平民の顔は覚えてますが、この子の顔は見たことがありませんわ」
キュルケは平民にも自分の情熱を燃やせるような男がいないか探ることがあり、学院勤務の平民の顔は結構知っている方だ。それでもあの少女の顔は知らない。
「まず、この子の話を聞く」
タバサが、まずはこの少女から話を聞き出すことを勧める。確かに、この場の誰もがわからないなら、直接彼女から話を聞くしかない。
「ねえ、あなたお名前は?」
キュルケが少女に尋ねる。
「リシュ」
少女は無垢な表情のまま名乗った。
リシュ、その名前を聞いて、一同は唸る。聞き覚えがまるでなく、やはり誰もが知らないようだ。リシュ、か…と呟きながら、シュウは少女の名前を認識すると、彼女に質問を投げかけてみる。
「早速だがリシュ。俺たちの質問に答えてもらう。どうしてあの場所で眠っていた?」
「ちょっと、そんな言い方じゃこの子が怖がってしまうわ」
どこか訊問しようとしているような口調のシュウに、キュルケが指摘を入れてきた。しかし、少女は彼に物怖じすることなくシュウたちにこう答えた。
「…わかんない。リシュ、気付いたらあそこで寝ていたの」
「あの箱の中に入れられた記憶もないのか?お前を箱に入れ込んだ奴の顔も?」
「うん、わかんない」
「親や兄弟はどうした?」
「…わかんない。リシュ、名前以外何もわからない」
「名前以外がわからない?」
分からないと一点張りのリシュに、キュルケは耳を疑う。
「…記憶喪失?」
タバサが一つの憶測を立てる。確かに彼女の予想の通りリシュが記憶を失っているのが本当なら、わからないとしか答えようがないだろう。しかし一方で、アニエスは強い疑念を抱き始め、疑惑眼差しをリシュに向けた。

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