贖罪-エクスピエイション-part3/地下に眠る少女
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ないんだ」
なぜ彼がそんなことを?キュルケもそうだが、タバサも奇妙に感じ取った。
しかしこのタイミングで、棺のような箱の蓋がズルっと落ち、中身が露わとなってしまった。突然箱の蓋が落ちた音を聞いて、シュウたちは視線を再び箱の方を振り向いた。
蓋が床に落ちたことで、中身が見える。
「なに?あの箱。ちょっと見てみましょうか」
「お、おいこら!」
真っ先に身を乗り出してきたキュルケがシュウとアニエスを除けて地下室に入り込んできてしまう。放っておくわけにいかず、シュウたち三人もついていく。
「な、なにこれ…!?」
キュルケは、あの箱の中を覗き込むと、思わず驚いて後退り出した。後に続いてきた三人も、彼女が何を見たのか確かめるべく箱の中を覗き込んだ。
「な、これは…!?」
中身を見た彼らは驚愕する。
「女の子…?」
箱の中にいたのは…なんと女の子だった。それもまだ、10歳に差し掛かるかそうでないかの幼い、長い青髪の少女。生まれたままの姿で、まるで古代遺跡の棺に眠る王のような姿勢で眠っていたのだ。
全員が困惑した。なぜこんなところにこんな小さな少女が?
「誰かが死体遺棄でもしたのか?」
「まさか…」
シュウが物騒な憶測を立てると、アニエスがあまりその可能性を肯定しきれないと言った。
学院の誰かが殺人を犯すようなことがあっては魔法学院でもフォローできない非常事態だ。それに隠す場所にしても、もっと巧妙に隠せる場所があるはずである。さらにいえば、この少女は…死体にしては生気を感じる。
「ふぁ…」
驚いたことに、その少女から吐息が漏れてきた。まさか、生きていたのか?アニエスは思わず剣を構える。シュウも突然目覚めた少女に警戒心を抱く。
「……」
一方、タバサは箱の中に人がいるという事態に一瞬固まっていた。自然と杖を握る手に、普段よりも力が入っている。…実をいうと彼女、何事にも平気そうに見えるが、実は怪談物が大の苦手だったのである。これは親友であるキュルケもまだ知らない。
すると、少女の目がパチッと開かれた。
「……う〜?」
彼女は体を起こすと、ボーっとしている眼で自分を覗き込むアニエスとシュウの二人の姿を確認する。
「………君は、誰だ?」
とりあえず、何者かをシュウは少女に尋ねてみる。
「おい、返事をして大丈夫なのか?」
「わからないが、他に手段がない」
言うとおり。ただ、彼女が本当に危険な存在なのかはまだわからない。二人はまだ警戒を解かなかった。しかしひとつ気が付いたことがあった。
「って、やだ!この子裸じゃない!」
キュルケが思わず声を上げた。この少女は生まれたままの姿で、服は一切着ていなかった。それを聞いて、シュウはすぐに自分の上着をとって少女に差し出した。
「着ておけ。そのままじゃ寒いだろ
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