贖罪-エクスピエイション-part3/地下に眠る少女
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、その箱はなんだ?」
「俺も今見つけたばかりなんだ。なんなのかはまだわからない」
隣に並んで、箱を覗き込んできたアニエスにシュウはそう答えた。
「まるで棺だな」
彼女も同じことを考えていたらしい。だがすぐに棺のような箱から視線をシュウの方に戻してくる。
「物置に放置されていたとはいえ、あまり覗くものじゃない。ここはもう暗いし、地上に上がっておけ」
「…ああ」
彼女の言うとおりだ。これ以上ここに留まる理由はないし、これ以上、この場所に転移された原因を突き止めるには今の時間は暗すぎる。言われた通りシュウはアニエスと共に、一度地上に出ようとする。
が、ここでまたしてもちょっとしたことに出くわした。
「お前たちは…」
アニエスは地下室の出口にて二人の人物が待ち構えていたのを見て、はぁ…と深いため息を漏らした。シュウは一体どうしたのかと気になり、アニエスの向こう側に立っている二人の人物を見て…アニエスと同じように目を細めた。
「…なぜお前たちがここにいる?」
「はぁい」
そこにいたのは、どういうわけかキュルケとタバサの二人だった。調子よく、手を振って軽く挨拶をしてくるキュルケが妙に腹立つように感じたシュウ。大方面白半分で付けてきたのだ。
「たまたま窓の外を見ていたら素敵な殿方がかの銃士隊の隊長殿と一緒に行くのを見つけて着いて来てみたら…まさかあなたがいるなんてね」
「……」
タバサは何も言わない。おそらくキュルケに付き添ってきただけだ。特に深い意味もなく、ただの気紛れなのだろう。
「で、そういうあなたも何をしていたの?もしかして逢引?」
「「それはない」」
キュルケはどうやら、夜に差し掛かる時間に誰も近よらない暗い空間に若い男女二人という状況を、そのように察したらしい。だがシュウとアニエスは見事に声をハモらせながら、面白半分で尋ねてきたキュルケの質問を否定した。
「そうね。あなたには可愛らしい女の子がご主人様だものね」
茶化すようにキュルケは言う。シュウはその人物が誰の事なのかすぐに察したが、彼女から視線を背けて何も言い返さなかった。
「でも違うなら、どうしてかしら?あなたこそアルビオンにいるはずじゃない」
「何?お前アルビオンにいたのか?」
聞いていないぞと言うようにアニエスは、キュルケの言った言葉を聞いてシュウを見やる。
「逃げてきただけだ。あそこは何かと物騒だからな」
シュウは全てを話さずに簡潔にそう告げる。別に嘘はついていないので構わないだろう。
「まさか、ティファニアたちを置いて?」
「道中で怪我したのを機に逸れただけだ。俺とて安否を確認したいが、あいにくコルベールという教師が俺の武器を強引に取り上げてな」
「ミスタ・コルベールが?」
「あれらがないと、己の身を守ることが難しい。ここから出るに出られ
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