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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
贖罪-エクスピエイション-part3/地下に眠る少女
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アニエスにとって、オスマンの言い分は屈辱を覚えさせるものだった。
だが、オスマンはアニエスの言い分にまったく怯まなかった。
「確かに分からぬよ。だからこそ…君は一番よく知っておるはずじゃ」
アニエスからの鋭い視線に充てられてなお、優しい眼差しを向けてきた。その視線は、今のアニエスには眩し過ぎた。
そして思い出した。まだ彼女がすべてを失い、復讐心に囚われる以前…無垢な子供だった頃、自分に愛を注いで育ててくれた両親や、一緒に遊んでくれた友達や近所の人たちの顔がよぎる。…オスマンの言うとおりのことを、きっと言うかもしれない。
いや、そうだとしても…すぐのあの炎に包まれた村の記憶が蘇る。そう考えるだけで、たとえ復讐者の道を行く自分を彼らが許さなくても、自分もまた、罪もない彼らを殺した実行犯を許せないという気持ちが湧き上がった。
だがオスマンは、アニエスの主張を許す気配がない。
「……もういい!あなたでは話にならん!」
これ以上は無駄だと気づき、アニエスは学院長室を後にした。
オスマンは去って行ったアニエスを見て、ふぅ…と息を吐いた。
「…もったいないのぉ、まだ若く麗しいというのに」
オスマンのスケベな性格を考えると、どこかふざけた意味にも聞こえるが、この時の彼はいたって真剣に、アニエスが一人の女性としての道を歩こうとしないことを嘆いていた。


「くそ…」
学院長室を出て、アニエスは不満を隠しきれないまま廊下を歩いていた。
腹立たしい。あのような世迷いごとをいう老いぼれを折れさせることができないとは。腰抜けが!アニエスは思わず罵倒したくなった。危険にいちいちビクついて、それでも魔法学院長かと…いや、だからかもしれないとも思えてきた。
不機嫌オーラを放ちながら外に出てくると、広場の様子が見えた。
「とお」「やあ!」
ミシェルとは別に、新たな副官を既存の銃士隊の隊員から抜擢して、彼女に不在の間の訓練を監督してもらっている。生徒たちは初日と変わらず、ぎこちない動きだ。声も小さくて気合が足りていない。星人に誘拐された者が多く、その恐怖を和らげるという意図があるはずなのに、まるで成長していない。未だに魔法が無敵だと筋違いな勘違いでも抱いているのか。…いや、一朝一夕で同行なるわけがないか。
「お前たち、なんだその軟弱な声は!もっと声を出して訓練に精を出しきれ!」
アニエスは部下たちの指導を受けていた生徒たちに向けて怒声を浴びせ、気合を入れ直させた。
「まったく…初日から思っていたが、たかが平民の女ごときが僕らに訓練を施すだと?陛下からシュヴァリエに選ばれたからって調子に乗るなよな」
しかし、男子生徒たちの一人が、銃士隊の隊員たちが平民の女性であることを理由に大口を叩いてきた。当然、その不遜な口のきき方を聞くということは、これまでに発
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