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歌集「春雪花」
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 寒風に

  身を打ちひして

   影るらむ

 遠けき空の

    日を思いつつ



 真冬の北風は…身も心も凍てつかせる…。

 見上げれど空は冷たい雲に覆われ、暖かな陽射しを感じることもない…。

 彼は今、寒くはないだろうか…。

 考えても詮ないことだが…それでも、彼のことを考えてしまう…。

 彼は遠く…まるで雲に隠れた太陽のように、その姿を見ることさえ出来ない…。


 諦められたら…どれだけ楽だろう…。



 雨そ降る

  冷たき冬の

   夜もすがら

 いつしか雪と

  なりにけるかな



 静かにそぼ降る雨…幽かな音を立てて、静まり返る冬の夜を濡らす…。

 雨音はただ心に滲みて…隠したい寂しさを浮き立たせ、会えないと解っている彼のことを思い出させる…。

 いや…忘れている振りをしている私を、窘めているのかも知れない…。

 寂しい…悲しい…苦しい…辛い…。

 誰しも、こんな感情は欲しくはない。
 でも…彼の周囲にいる人達に嫉妬して…そんな自分に嫌気が差して…。

 朝方にふと気付けば…雨は静かな雪へと変わっていた。


 あぁ…私の魂が、こんな無垢な白であったなら…こんな生き方をせずとも良かったのだろうか…。

 もう変えられない時を思い、ふと…自嘲した…。





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