724部分:第百八話 死の世界の前でその二
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第百八話 死の世界の前でその二
「そういうことだ」
「まあ拳で語るなんてことは言わないさ」
「では言うのだな」
「そうだ。俺は傲慢な神様ってのが嫌いなんだよ」
デスマスクは余裕のある笑みを浮かべたままだったがその目を鋭いものにさせてそのうえで言ってみせたのである。笑みは口元だけになっていた。
「手前を神様だってことでやりたい放題する神様がな」
「それが嫌いか」
「そうさ。この世で一番嫌いだ」
このことを言うのだった。
「それをまず言っておくぜ」
「だからアーレス様もか」
「嫌いさ。まあ冥界の神様連中よりはましかも知れないがな」
「アーレス様は素晴しき方だ。我等を認め受け入れて下さった」
「手前等はな」
彼等はだというのだ。
「けれどな。他の奴等、特に弱い奴等は虫けら程度にしか思ってないな。違うか?」
「キャンサー、貴様も弱い者達は嫌っているのではないのか?」
「嫌いだがだからといって殺すことはしないさ」
それはないのだというのだ。
「俺はな」
「それはないというのか?」
「俺が倒すのは敵だけだ」
それだけだというのだ。
「武器を持たない、拳を持たない奴を倒すのは聖闘士の流儀じゃないからな」
「それは戯言だな」
だがカナンはそれを否定した。
「完全にな」
「俺が嘘を言っているってのか?」
「そうだ、キャンサーよ」
そのデスマスクを見据えての言葉である。
「貴様は戦いの中でこれまで多くの者を殺してきたな」
「少なくともデスマスクとしてだけでもな」
こう言ってみせたのである。
「手前等のとこの雑兵達は相当倒させてもらったな」
「そしてその前にもだったな」
「ああ、おおよそ察しはついてるさ」
不敵な笑みをそのままにしての返答だった。
「俺の前世とかだな」
「いちいちその時の名は言わぬがな」
「そうだな。俺は戦いの時に相当な数を殺している」
「貴様の技で多くの者が倒れた」
カナンの言葉は続く。
「その中には巻き添えになった者も多い」
「これからもそういう奴はまた出て来るな」
「それでどうしてそう言える」
ここまで話しての問いだった。
「キャンサー、貴様は何故そう言えるのだ?」
「一つ言っておく」
ここでデスマスクの顔から完全に笑みが消えた。そのうえでの言葉であった。
「俺達黄金聖闘士はだ」
「どうだというのだ?」
「それこそ動くだけで相当の力を放つ」
「そうだな。それはな」
「そして俺達が動く時はだ」
その時のことも話すのだった。
「この世界が危機にある時だ。その時はだ」
「犠牲もか」
「それも覚悟してのことだ」
そうだというのだ。
「犠牲も止むを得ない、そう教皇が判断された時にだ」
「出陣するというのだな」
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