723部分:第百八話 死の世界の前でその一
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第百八話 死の世界の前でその一
死の世界の前で
デスマスクが進む先に誰がいるのか、もう彼にはわかっていることだった。
「さて、それじゃあな」
彼は余裕の笑みを浮かべながら前に進んでいた。そのうえでの言葉だった。
「あの蝿野郎の面を拝んでやるか」
こう言ってだ。赤い廊下を進み同じく赤い玄室に出た。やはり彼がいた。
「来たか」
「来たかじゃねえよ」
目の前にカナンが現われた。その彼に対しての言葉だ。
「来てやったんだよ」
「相変わらず減らず口を言うか」
「これが俺の性分でな。悪く思っても謝罪はしないからな」
「謝罪なぞ求めるつもりは最初からない」
カナンは余裕綽綽の態度を身体全体で見せるデスマスクに今はこう返した。
「しかしだ」
「しかし?」
デスマスクはカナンのその言葉を呼び止めて返した。
「何だってんだ?それから」
「キャンサー、貴様はアテナの聖闘士だな」
カナンが問うのはこのことだった。
「そうだな。それで間違いないな」
「おいおい、何馬鹿なこと問うてくるんだ?」
デスマスクはカナンのその言葉にも軽口で返す。
「この黄金聖衣が目に入らないのか?俺は言うまでもなくな」
「だが貴様は戦いが好きだな」
カナンは鋭い目で彼に返す。
「それもこの上なくだな」
「それがどうしたってんだ?」
「そして人を殺めることにも躊躇しない」
このことも問うのだった。
「そうだな、その通りだな」
「まあな」
デスマスクは今度はあえてこう言ってみせた。
「それはな」
「それではだ」
カナンは彼のその言葉を受けたうえでまた言ってきた。今はお互い技を出すことはない。しかしそれでも全力で小宇宙を放ち合っている。
そしてだ。そのうえで言うのだった。
「何故聖闘士なのだ」
「俺がか」
「そうだ。何故なのだ」
彼への問いを続ける。
「何故貴様は聖闘士なのだ?戦いを好み人を殺めることに躊躇しない貴様が」
「それが疑問なんだな」
「貴様から放たれる小宇宙の感覚はだ」
彼の小宇宙についても語る。
「それは我等のものに似ている。戦いを好み死に迷うことがない」
「まあ戦いもぶっ殺すのも嫌いじゃないさ」
「そうだな。我等狂闘士もまたそれは同じ」
彼等もだというのだ。
「だが。それでもだ」
「それでもかよ」
「聖闘士にそうした者がいるのは何故だ」
カナンの問いは続く。
「前の聖戦で貴様と闘った時からそれが疑問だった」
「前の闘いじゃわからなかったんだな」
「そうだ。それがどうしてもわからなかった」
まさにそうだというのだ。
「キャンサー、貴様は何故聖闘士なのだ?それも最高位である黄金聖闘士なのだ」
「それが知りたい
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