暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
心ばかりの豆腐尽くし
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g、今晩は私も付き合うネ!」

 昼間会った時よりもバッチリメイクのアイオワと、何故か付いてきた部屋着姿の金剛のお出ましだ。

「なぁ〜んでお前も居るんだ……よっ!」

 ツッコミ替わりにチョップをかまそうとしたが、真剣白刃取りの要領で受け止められてしまった。

「私だってたまにはdarlingの手料理食べたいヨ〜!」

 どう見ても大きな駄々っ子です、本当に(ry)な状況になってしまえば、もう梃子でも動かない。

「……ハァ、わかったわかった。とっとと座れ二人とも」

 こういう時、諦めというのは本当に肝心だ。金剛もカウンターの席に座らせ、フルートグラスを3つ用意する。着任祝いだしな、乾杯くらいは豪勢にいこう。

「Oh、ドンペリとは奮発したネ〜darling」

「やかましい、いらん事言うと飲ませねぇぞ?」

 そう言って脅してやると金剛は、両手で口を隠すように覆った。ドンペリなんてウチは殆ど仕入れないからな。この機会を逃せば次はいつ飲める事やら。

 ドンペリ……ドン・ペリニヨンが正式名称だが、シャンパンを世に産み出したフランスのシャンパーニュ地方の修道士の名前がそのまま酒の名前になっている。日本でシャンパンというとドンペリ、というイメージが強いのは、バブル経済の時期に成金趣味の人々がこぞって飲んだ事からその名が広まったとされている。

「実はジェームズ・ボンドの大好物なんだよネ!」

 自慢げに雑学を語る金剛。まぁ、『007』シリーズの主人公がシャンパン好きなのは公式の設定だ。まぁ、1987年以降のシリーズではドンペリを作っているライバル会社がスポンサーに付いたから、ドンペリは出てこなくなってしまったが。

「んな事ぁどうでもいいんだよ、さぁ飲もうぜ」

 コルク栓に力を掛けると、瓶の中に充満していた炭酸ガスの影響でシュポン!と勢いよく飛んでいく。変な所には飛んで行かなかったからまぁよしとするか。トクトクトク……とフルートグラスに注いでいくと、シュワシュワとキメ細やかな泡が発泡しているのがよくわかる。透き通った黄金色の液体の中で、その泡がよく映える。

「綺麗……」

 アイオワは初めて見たのか、目を輝かせている。いつまでも眺めていてもしょうがない……酒は眺めるモンじゃなくて飲む物だからな。

「さ、乾杯しよう」

 俺の音頭で2人もグラスを持った。

「アイオワ、着任おめでとう。これから宜しくな……乾杯」

 グラスをぶつける事なく、軽く目線より持ち上げる。薄く見た目を重視して作られているグラスは、これでいい。そのまま口へ迎え入れると、葡萄の甘味と酸味がしっかりと伝わってくる。そこに炭酸の刺激とが相俟って、飲み込むと口の中に清涼感というか、爽快感のような物が残る。

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