722部分:第百七話 全てを斬るものその四
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第百七話 全てを斬るものその四
そしてその頃アーレスはそれを見ていた。そのうえで言うのだった。
「案ずるな」
「ジークのことですか」
「そうだ、ジークよ」
エリスに応えての言葉である。
「そなたは必ず蘇る。私が蘇らせる」
「はい、アーレス様がおられればこそ」
「そなた達は幾度でも蘇るのだ」
「それは狂闘士であらばこそですね」
「冥闘士も同じだったな」
これはハーデスの戦士達である。
「確か」
「はい、ハーデス様もまた優しき心を持たれている方」
エリスの声はこうアーレスに答える。彼等はハーデスとは密接な関係にあり自然とその言葉にも敬意が出ているのである。それはアーレスも同じだ。
「ですから」
「叔父上もまた理解されることの少なき方」
「残念なことに」
「私もまた同じだった」
「そのこと、忘れはしません」
エリスの言葉に無念が宿っていた。
「例え何があろうとも」
「済まぬな。私はそなた達があってこそだ」
「いえ、それは違います」
エリスは兄神の今の言葉は否定した。
「それは違うのです」
「違うというのか」
「はい、我等はアーレス様があってこそなのです」
「私ならばこそか」
「アーレス様以外にお仕えすることもありません」
それもないというのだ。言葉には絶対の響きがあった。
「例え何があろうとも」
「神々の時代から言ってくれるな」
アーレスの言葉に親しむものが宿っていた。
「私に対して」
「アーレス様ならばこそです。我等はお仕えします」
「その言葉通りにもしてくれるな」
「我等も。狂闘士達も」
どちらもだという。
「嘘をつくことはありません。アーレス様にお仕えする者として」
「誰一人としてだな。確かに気の遠くなる過去よりそうだった」
「今も。そして」
エリスの言葉は続く。
「これからもです」
「ではだ。私はそなた達の為にだ」
「はい」
「全てを捧げ尽くそう」
そうするというのである。
「私の全てでな」
「有り難き御心」
「有り難いのではない」
アーレスはエリスの今の言葉は退けた。
「そうではないのだ」
「といいますと」
「当然のことだ」
こう言うのである。
「これは当然のことだ」
「我等にアーレス様の全てを捧げられることがですか」
「そうだ、それはだ」
また言うのだった。
「当然のことだ。だから礼なぞいいのだ」
「それは何故でしょうか」
「私はただ君臨するだけの神ではない」
「そうでないのは承知しています」
「ならわかる筈だ。私は私に忠誠を誓い全てを捧げるそなた達に対してだ」
「全てで応える」
エリスはアーレスの言葉の意味がわかった。
「左様ですか」
「そうだ、そういうことなのだ」
「わかりま
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