SIDE:A
第十一話
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件のことしか思いつかない。
しかし、あの時ヒナタって確か寝ていたはずでは?
「実は、白眼で見てたの。ハルトくんが助けてくれた時のこと」
「そうだったのか……」
まさか意識があって白眼で思いっきり見られていたとは思いもしなかった。
ていうか、四歳ですでに白眼が開眼してるのか! すごいな、大人になって開眼する人もいるって聞いてるのに……。
「あの時、ちゃんとお礼言えなくてごめんなさい……」
しゅんとした顔で下を向くヒナタちゃん。
落ち込む少女の姿に慌てて慰める。
「いいんだよそんなの。ヒナタちゃんが無事だったのがなによりなんだから!」
それに、こんな可愛い子を誘拐とかマジで許されないし。誘拐ダメ、絶対!
「あ、そうだ。これは聞いておきたかったんだけど。父さんたちの話では俺と婚約することになってるけど、ヒナタちゃんはそれでいいの?」
言い辛いだろうけど、これは聞かないと。もしヒナタちゃんが乗り気でないなら俺のほうから父さんに掛け合って婚約を破棄しないといけないんだから。
顔を赤らめたヒナタちゃんはボソボソっと消え入りそうな声で言った。
「あの、その……、い、嫌じゃない、です……。だって――」
ハルトくんは、わたしの憧れだから。
そう言葉を続けたヒナタに俺の顔も赤くなった。
「あの、そういうハルトくんはどうなんですか……? 私とのこんやく、嫌じゃないですか……?」
そう言って、不安気に瞳を揺らしながら見上げてくる。
俺は大きく首を振ってみせた。
「まさか。ヒナタちゃんのような可愛い子なら大歓迎さ。俺もヒナタちゃんのこと好きだしな」
「す、好き――っ!?」
結構すんなり告白の言葉が出た。
生前は病気のせいで入院生活が長かったから、好きな子がいても告白なんてできなかった。そのためか、素直に好意を伝えるのにあまりためらいを覚えないのは。
俺の好き発言で顔を真っ赤にして慌てふためくヒナタちゃん。
今のはポロッと言葉が出た感じで、告白って感じじゃないな。よし、改めて言うぞ!
背筋を伸ばした俺は二歳年下の女の子の目を真正面から見つめた。
「ヒナタちゃん」
「は、はい……」
俺の真剣な雰囲気に呑まれたのか、緊張した面持ちだ。
そんな彼女の目を見据えたまま、大きくはっきりと、想いを言葉にした。
「好きです」
「――」
息を呑む音。俺は真摯な気持ちが伝わるようにと声に熱を帯びさせながら、しかし熱くなりすぎず冷静に言葉を続
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