SIDE:A
第十一話
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ことだ。
卒倒しそうなほどテンパっているヒナタを見て、平常心に戻った俺はニコッと微笑みかけた。
「ヒナタちゃんも緊張してるんだ? 俺もすごく緊張して心臓バクバクだよ」
「う、うん。わ、わたしも、ドキドキしてますっ」
「じゃあ一緒だね」
「……っ! う、うんっ」
そう言って笑い掛けると、ヒナタちゃんは嬉しそうに顔を綻ばせた。
「それではヒナタ、私はクシナさんと話があるから、ハルトくんに家の中を案内してあげなさい」
「ハルト、しっかり頑張るのよ!」
これは所謂"後は若い者どうしで"というやつだろうか。そして母さん、恥ずかしいから親指立てないでくれ、マジで。
ヒアシさんの言葉にコクコクと頷くヒナタ。クーちゃんは俺についてきそうだったが、母さんに何か言われて渋々部屋に待機することになった。
俺たちは親に半ば追い出されるようにして部屋を後にしたのだった。
「……」
「……」
部屋を出た途端に会話がなくなる。
どうすればいいのか分からずもじもじしているヒナタ。ここはやっぱ俺がリードするべきだよな。
おっしゃ、男は度胸!
「えっと、それじゃあ案内してくれるかな?」
「は、はい……っ」
「よし、じゃあまずはヒナタちゃんの部屋に行こうか」
「え、ええっ、わ、わたしの部屋、ですか?」
子供らしく元気な声を上げると顔を赤くしてあたふたし始める。やっぱ可愛いなぁ。
観念したのか、やがてコクンと小さく頷いた。
† † †
ヒナタちゃんの部屋はなんというか、名家らしい部屋だった。
和風家屋の床は畳張りで壁には掛け軸が掛けられている。壁際には本棚や机などの家具が並び、整理整頓が行き届いているのが分かった。
女の子の部屋にしては殺風景かなと思うが、窓際には可愛らしい動物のぬいぐるみが並んでいた。ちゃんと女の子してたのか、と失礼極まりない安堵感を覚えた俺であった。
その後は皆でご飯を食べる食堂のような部屋や、普段鍛錬で使用する離れの道場、使用人の方も数人紹介してもらい、中庭に着く頃にはヒナタもすっかり緊張が解れた様子だった。
縁側に仲良く座って談笑していると、唐突にヒナタがお礼を言ってきた。
「ん? どうしたんだ急に。お礼を言われるようなことしてないけど」
「ううん、前に助けてもらったお礼をちゃんと言ってなかったから」
ヒナタに関連することで前に助けたとなると、二年前の誘拐事
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