SIDE:A
第十一話
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こに立っていたのは可愛らしくおめかしした少女が一人。
うっすらと化粧を施して口紅もつけ、大人っぽさが加わった美貌。日向家特有の白目はぱっちりしていて大変可愛らしい。
艶やかな黒髪は前髪を額に垂らし切り揃え、後ろ髪を襟足辺りでまっすぐに切り揃えた、おかっぱ風の髪型。
薄紅色の着物を着込み、まるでお人形のような愛らしさを醸し出していた。
あまりの可憐さにしばし見惚れていると、少女は俺の視線に気がついた。顔を赤らめて体をもじもじさせる。
「何をしているヒナタ。早く座りなさい」
「は、はいっ、お父様……!」
ヒアシさんに促されて慌てて父の隣に着席する。
全員揃い、ヒアシさんが「それでは改めて」と開幕の挨拶を始めた。
「日向家長女、日向ヒナタとうずまき家長男、うずまきハルトの見合いを始める。まずは互いの自己紹介から」
司会進行はヒアシさんがするのかな?
年長者ということで俺から自己紹介しようとすると、母さんが肘で脇をついてきた。俺から自己紹介しろってことだろ? 分かってるよ母さん。
「四代目火影、うずまきミナトが長男、うずまきハルトです。歳はヒナタちゃんの二つ上で八歳です。三つ年下の妹が一人いまして、今は家でお留守番しています。それとご存知かと思いますが、後ろにいる彼女は九尾の狐で、僕の使い魔をしています。父と母を含めるとこの五人が僕の家族ですね。趣味は鍛錬と忍術の開発。好きな食べ物はアイスです。ヒナタちゃんとのお見合いということで今、すごく緊張しています。今日はよろしくお願いします」
なんの面白げもない紹介に母さんが再び肘でついてくる。いや、これ以上なにを言えばいいのさ! 俺だって結構いっぱいいっぱいなのよ!?
俺の自己紹介が終わると今度はヒナタちゃんの自己紹介だ。
「わ、わわ、わたしは! ひ、ひゅ、ひゅうが、ヒナタです……! ろく、六歳で、えと、えっと……しゅみは押し花です! は、ハルトくんとお見合い、わた、わたしもすっごいきんちょうしてます……っ」
顔を真っ赤にして言葉を噛みながら、それでも精一杯自己紹介してくれるヒナタちゃん。
そんな姿に胸のなかがほっこりしていると、ヒナタパパがやけに目尻を下げた顔で娘を見ているのに気が付いた。
――あ、この世界のヒアシさんって娘にデレデレなんだな。今はっきりと分かったわ。
原作のヒアシさんは実力がないということを理由にヒナタを蔑んでいた。今、目の前で緊張のあまり倒れそうになっているヒナタが原作と違い、実力があるのかは分からないけれど。
まあ、なにはともあれ家族間の関係が良好なのは俺にとっても喜ばしい
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