721部分:第百七話 全てを斬るものその三
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第百七話 全てを斬るものその三
「命を見せる」
「そうだな」
「その命、どちらが残るか」
「今それを見せる!」
そのまま技がこのうえなく強くなってだ。二人の間で炸裂した。黄金と赤の衝撃が極彩色の華を飾った。そうしてその華が消えた後で残ったのは。彼だった。
「見事だった」
「貴様もな」
シュラがジークの言葉に応える。
「一歩間違えれば俺の方がだったな」
「いや、それは違う」
「違うというのか」
「勝ったのは貴様だ」
まさにそうだというのだ。
「そして倒れているのは俺だ」
「確かに貴様は倒れている」
見ればジークは仰向けに倒れていた。その全身に凄まじい衝撃の痕がある。それを見れば勝敗は明らかだった。シュラは立っていた。
その立っているシュラがだ。ジークに対して言うのである。
「ベールよ」
「何だ?」
「貴様は満ち足りているのだな」
「そうだ、満ち足りている」
ジークは倒れながらもこう返した。声は確かにそうしたものだった。
「思う存分闘うことができ」
「それにだな」
「そうだ、貴様とも再び会うことができた」
「だからこそか」
「俺もまた同じだ」
シュラはそれは自分もなのだと返す。
「俺もまた貴様と闘うことで満ち足りている」
「そうなのか」
「そうだ。確かに立場は違う」
それは違うのだという。しかしなのだった。
「だが」
「だが、か」
「貴様との闘い、忘れはしない」
「俺もだ。また会うことになる」
「そうだな。我等は輪廻の中にある」
それはシュラもわかってきていた。その輪廻の中にあるからだ。そしてその中で動いてだ。黄金聖闘士として闘う自分を見ているのだった。
「貴様もまたな」
「全てはその中にある」
ジークもまたそれは同じだった。
「我等はその中で闘っているからだ」
「ではまた会おう」
シュラはそのジークに再び告げた。
「そしてその時こそはだ」
「勝つというのか」
「そうだ、勝つ」
まさにその通りだという。
「次に勝つのはこのジークだ」
「その言葉確かに受け取った」
それはだと返す。
「しかしだ」
「次も勝利を収めるというのだな」
「この地上と人々を守る為に我等はいる」
この考えは変わらない。それは彼がアテナの聖闘士だからに他ならない。
「だからこそだ」
「ならばそうすればいい。我等はアーレス様の為に闘う」
「それは変わらないか」
「全くな。ではベールよ」
「うむ」
「さらばだ」
これが最後のやり取りになった。
「今は眠るがいい」
「アーレス様に栄光あれ」
ジークも言う。
「この地上と天界を統べるべき方に」
この言葉を最後に息を引き取った。シュラはそれを見届けてから玄室を後にし先に進んだ。彼
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