第二十六話 叔父として王としてその六
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「そう願いました」
「そうなのですね」
「これまで何かと優しくしてもらいました」
このことを感じているからこそというのだ。
「ですから」
「感謝のお気持ちもですか」
「あります」
王に対してのそれもというのだ。
「叔父上としましても」
「そうでしたね」
オズワルド公もマイラに言って来た、二人はこの時も彼女と共にいるのだ。
「王には」
「宰相であられた時から」
まさにその頃からというのだ。
「色々として頂いたので」
「祈られた」
「左様ですか」
「そうです、是非共」
十字架にいる主を見上げた、主に対しても言った。
「王にご加護を」
「そのお言葉必ず届きます」
司教は瞑目し礼をする様にマイラに述べた。
「神、そして主に」
「天界にですね」
「そうなります」
「全てを見ておられるが故に」
神、そしてその子である主はだ。だからこそというのだ。
「だからですね」
「王女様のお言葉も」
「なら」
「ご安心下さい」
司教はマイラにこうも言った。
「このことは」
「それでは」
「それでなのですが」
オズワルド公もマイラに話す、そのことはというと。
「王はマイラ様とマリー様をです」
「二人共ですか」
「はい、摂政にされよと言われています」
「摂政ですか」
「そうです」
まさにというのだ。
「その様に言われています」
「では私は」
「この国を治められることになります」
これまで以上にというのだ。
「国の柱として」
「摂政だからこそ」
「そうです」
「あの娘と共に」
マリーもと聞いてだ、マイラは複雑な顔になった。そしてそのうえで司教とオズワルド公にこう言ったのだった。
「それは」
「お嫌ですか」
「このことは」
「いえ」
マイラは二人の側近の問いに首を横に振って答えた。
「そうは思っていません」
「そうですか」
「お嫌ではないですか」
「はい、ただ私はあの娘と会いますと」
近頃そうした時間を持っているがそれでもというのだ。
「無闇に緊張してしまいます」
「特に緊張されることはありません」
オズワルド公はマイラの今の言葉にすぐに述べた。
「マイラ様も王女なのですから」
「王の娘だからというのですね」
「左様です、王家の方ですから」
「王家の娘であっても」
マイラは無意識のうちに顔を背けさせた、それは動作に出ていたが何よりもそのことに対して顔を背けていた。
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