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Three Roses
第二十六話 叔父として王としてその一

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                 第二十六話  叔父として王として
 王は床から起き上がれなくなっていた、それで枕元にいたマリアがそのまま成長した様な外見の王妃に言った。
「今までご苦労だった」
「まさか」
「多くは言わせないでくれ」
 心配な顔になった王妃に笑ってこうも言った。
「頼む」
「では」
「それでな、それでだが」
「それでとは」
「後はどうしたい」
 王妃の目をじっと見て問うた。
「そなたは」
「私は、ですか」
「そなたの好きにするといいが」
「修道院に入ろうかと」
 貞淑な人妻が夫を亡くした後に大抵そうすることだった、王妃も王に対してそうすると言った。
「思っていますが」
「そうか、しかしだ」
「それでもですか」
「そなたの好きにするといい」
「ですが」
「私への義理なぞよい」
 修道院に入るにしてもというのだ。
「そなたが本当に入りたいのならな」
「修道院もですが」
「いいがあくまでだ」
「私が本当にそうしたいのならですか」
「するといい、娘のところに行くこともな」
 マリーのいる島国にというのだ。
「そうしてもいい」
「左様ですか」
「そうだ、いいな」
「私がしたいことをですか」
「するのだ」
 こう王妃に言った、そして。
 側近達にはだ、こう言った。
「既に王は決めた」
「はい、王子が」
「あの方が」
「太子となった、ではな」
「あの方が次の王となられ」
「そしてですね」
「新しい王は幼い」
 立てる様にはなっている、しかしまだ馬には乗れていない。当然字の読み書きもまだ出来はしない。全てはこれからだ。
「だからな」
「それ故に」
「我等ですね」
「新王を盛り立てよ」
「そうせよというのですね」
「そうだ、その際だが」 
 さらに言う王だった、言葉を振り絞る様に出して。
「わかるな」
「はい、マリー様とマイラ様ですね」
「お二方がおられますので」
「お二方を軸として」
「そのうえで」
「政にあたれ、ここで注意することは」
 それはというと。
「決して分け隔てをするな」
「それは、ですか」
「絶対にするな」
「マリー様もマイラ様もですね」
「公平に」
「そうだ」
 こう言うのだった。
「二人の意見を共に聞いてだ」
「そしてそのうえで、ですね」
「政治を決めよ」
「そうされよというのですね」
「あの二人は聡明で学識もある」
 マリーもセイラもというのだ。
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