第一章 天下統一編
第八話 武田旧臣の仕官
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ず聞き返した。
「駿河前左大将様が五郎右衛門が食客と知ったら仕官しないかと誘うかもしれないと思ってな。お前は五郎右衛門のことを気にいっているのだろう」
「五郎右衛門のことは心配しなくても大丈夫です。不義理をするような人間じゃありませんから。少なくとも北条攻めが終わるまでは俺の元に居てくれますよ」
「その後はどうなのだ」
「五郎右衛門は駿河前左大将様に軽返事はしないです」
俺の落ち着き払った様子に秀清は「お前がそう言うならもう何も言わない」と言った。何時もの秀清なら泰然自若としているんだが、今回は相手が徳川家康だからだろう。
相手は「東海道の弓取り」と言われた大物だからな。だが、その徳川家康と俺は今後上手く立ち回わらないといけない。秀清にはもう少し堂々と構えてもらわないと困るんだが、俺の懐刀になる人物を探すしかないかもしれない。
人物なら柳生宗章だが、柳生宗章は武辺者過ぎて参謀役は無理だろう。彼の弟、柳生宗矩は年を重ねれば頼りになる参謀役になるだろうが如何せん時間が限られている。
時間がないことが呪わしい。せめて二十年前に生まれていればまだ巻き返しが可能だった。
考えるだけ無駄なことだな。今はどう生き抜くか考えなければならない。一番は徳川家康に気に入られることだが、俺は秀吉の寧々に凄く近い親戚であることが不安要素なんだ。この点はどうしようもないし、俺の一番の利点でもある。
俺は徳川屋敷に行く日のことを考え気持ちが高ぶっていた。
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