第一章 天下統一編
第八話 武田旧臣の仕官
[5/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
正し自信に満ちた表情で俺に答えた。この様子なら多分大丈夫だろう。
「それなら問題ありません」
俺は笑顔で乾正信に答えた。俺は次に孕石元成の顔を見た。
「孕石殿は元々は駿河今川家に仕えておりました。その後、今川家滅亡後に甲斐武田家に仕え現在にいたります」
「馬術は得意ですか?」
「得意であるか分かりませんが馬の扱いは慣れています」
この人は騎馬隊に組み入れよう。それに年齢も高いから騎馬隊の取りまとめ役になれるだろう。
「孕石殿、ありがとうございました。それでは曽根殿」
俺は真打の曽根昌世の方を向いた。どういう経歴の人間であるかは大体知っている。でも、人物像ははっきりしない。歴史の情報だけだとこれが限界だな。
「曽根殿は武田家で足軽大将を勤められておりました。また、武田家滅亡後は徳川家に士え興国寺城の城主を任されておりました。その後、徳川家を去り今に至ります」
歴史通り城主格か。その地位は武田家を裏切り他の武田旧臣を寝返らせたことに対する恩賞だろう。でも、徳川家康は無能な者を城持ちにするほど甘い人物じゃない。城主に必要な力量は十分にあったのだろう。
「曽根殿、話したくなければ話さなくとも構いません。徳川家を去った理由を教えてもらえますか?」
教えてもらえなくても問題ない。だが教えてくれるなら聞いておきたい。
「言いたくはありません」
曽根昌世は視線を落とし考えていたが短く返事した。城主にまでなった人物だから「徳川家康は武田家を裏切った自分を嫌い、徳川家に居づらくなった」と情けない抗弁はしたくないのだろう。
「そうですか。それなら構いません。曽根内匠助殿、家老格として千石で仕官してくださいますか?」
「小出様、一つお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
曽根昌世は俺の掲示した条件を聞き終わると俺に質問してきた。
「何でしょうか?」
「失礼ながら小出様の知行は五千石と聞いております」
曽根昌世はそこで言葉を切った。その先は言いづらそうだった。
俺は曽根昌世の聞きたいことが何か直ぐに理解した。彼は俺が千石も知行を払えるのかと聞きたいのだろう。確かに面高は五千石だからな。心配するのも当然だな。
「私の知行は表向き五千石ですが、関白殿下の心遣いを受けまして、実際の領地の収入は一万石あります。このことは内密にお願いします」
「失礼なことを申しました。心して仕官の話をお受けいたします」
曽根昌世は俺に平伏した。
「曽根内匠助、よろしく頼む」
乾正信は百五十石、孕石元成は二百五十石で俺に仕官した。
俺は聚楽第にある徳川屋敷に向かった。曽根昌世を俺が雇うから徳川家康に話だけは通しておこうと思ったからだ。徳川家
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ