718部分:第百六話 剣と剣その四
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第百六話 剣と剣その四
「とりわけ切れ味のいいものだ」
「それを見るのも楽しみだ。だが」
「だが、か」
「残念だが俺がそれを見ることはない」
こう言うのであった。
「それはだ」
「ないというのだな」
「そうだ、ない」
ジークはまた言った。
「何故ならだ。貴様はこの技で死ぬからだ」
「だからだというのか」
「このジークが司る魔神ベールは魔神の中でも随一の剣の使い手なのは知っているな」
「既に見た」
「そうだな。このジークに剣で勝てる者はいない」
その自信も見せる。まずはそれがあってのジークだった。
「それは何故か。ベールは八本の足を持っている」
「人と猫と蛙の三つの頭を持つ蜘蛛だな」
「それこそがベールの姿」
魔神の中でもとりわけ禍々しい姿をしていると言える。それがベールなのだ。伊達に八大公として多くの魔神達を指揮するわけではないのだ。
「そしてかつてはバールだった」
「そのバールの剣か」
「そうだ。バールは戦う神でもあった」
死の神モートと絶え間なく戦い続ける神であったのだ。そしてその中で季節と時が移ろいでいく。カナンの地での神話にはそうある。
「その手には剣があった」
「バールが変じたベールもまた、だな」
「今ではこの剣はアーレス様の為にある」
またしてもアーレスへの忠誠を見せる。
「そしてだ。この技こそがだ」
「来たか」
「アーレス様を脅かす敵への最大の攻撃だ。受けるがいい」
言いながら剣を振るう。それはジークの身体よりも大きな、両手で持つべき巨大な剣になった。そしてその巨大な剣を上から下に思いきり振り下ろし叫んだ。
「ムーンブレイド!」
「これは」
「さあ、受けるがいいカプリコーンよ」
技を放ってからの言葉だった。
「この技をだ。受けてみるのだ」
「来たか」
「この技を見せたのは貴様だけだ」
凄まじい衝撃が辺りを縦横無尽に荒れ狂う。天地を引き裂き全てを切り裂かんまでである。それがシュラにも襲い掛かるのであった。
「そう、貴様を倒す為の技だ」
「このシュラをか」
「貴様の技、見せるのだ」
技を放ったうえで不敵に笑っての言葉だった。
「そうでなければ防げるものではあるまい」
「その通りだ」
シュラはジークの最大の技ムーンブレイドを見ても冷静であった。それは変わるところがなかった。
「勿体をつけるつもりはなかったが時が来たな」
「貴様の最大の剣を見せる時がだな」
「そうだ。受けるがいいベールよ」
シュラの目がさらに光った。
「このシュラの技をな」
「貴様の聖剣が勝つかこのジークの魔剣が勝つか」
ジークの言葉が不敵なものになっていた。
「今ここでわかる」
「いや、答えは既に出ている」
「何っ!?」
「このシュラがこ
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