暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる。
祝福の杯は蜂蜜酒を
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くと、それは3本の芋焼酎。

「うおっ!?こいつぁ『魔王』に『村尾』、それに『森伊蔵』じゃねぇか!」

「えぇ、彼の地元は鹿児島だそうで」

「それで、知り合いに頼んで今年の新酒を……と思いましたが、10月が新酒の時期なので、去年の物を送ってもらいました」

「いやいや、去年の仕込みでも上等上等、『薩摩の3M』は手に入れるのも大変だからねぇ」

 『魔王』、『村尾』、『森伊蔵』の3種はその味の上等さとローマ字で書いた時の頭文字であるMから取って薩摩の3Mと酒飲みの間では呼ばれたりする。早速店のラインナップに並べさせてもらおう。

「いやいや、俺にとっちゃあ最高の贈り物だ。ありがとよ」

「いえいえ、喜んでいただけたなら幸いです」

 そう言って朗らかに笑う橘君を見ていれば、霧島を任せても大丈夫だと安心できる。

「んじゃ、改めまして……橘君、そして霧島。この度はご結婚、おめでとう」

「「あ、ありがとうございます」」

「盛大な結婚式はプロに任せておいて、俺からもささやかだが祝いの宴って程じゃあねぇが、食事会を二人に贈りたいと思ってな」

「darlingの料理はサイコーですからぁ、たっぷり楽しんで下さ〜いネ?」

 べろべろの金剛、にへらっと笑いながらそう言っている。嫁さんに褒められる気分は悪くはないが、出来上がってる状態で言われてもなぁ……。

「まぁ、料理は追い追いな。まずは乾杯といこう。……ところで橘君は洋酒はイケる口かい?」

「え?えぇまぁ。基本は日本酒や焼酎が多いですが、基本はザルなので……」

「結構。それじゃあ『人類最古の酒』であり『花嫁の酒』と言われている一杯をご馳走しよう」

 俺がそう言って那智に目配せすると、那智は小さめのブランデーグラスを列席者の前に並べていく。俺は棚から2本のボトルを手に取り、カウンターに置いた。

「司令、これは何です?何かロシアっぽいラベルですけど」

 初めて見るボトルに興味津々の青葉。しかしその観察眼は鋭いな。

「こいつぁロシアの醸造酒、『メドブーハ』だ。蜂蜜が原料でな、蜂蜜の分量の差で味わいが変わる」

 蜂蜜が少なければ短期間の発酵で喉越しさっぱり飲みやすいタイプになり、蜂蜜が多ければ長期発酵でコクやキレを楽しめる濃厚な味わいのタイプになる。今回は両方準備してある。アルコールはどちらも5%前後だが、甘くて飲みやすいが為についつい量を過ごしやすい酒だ。

「でも、蜂蜜のお酒が人類最古の酒なんですか?」

「あぁ、メドブーハは12世紀頃からの酒だが、蜂蜜酒……所謂ミードって奴ぁ旧石器時代まで歴史を遡るらしいから1万4千年位前からある酒らしいな」

 蜂蜜酒……ミードって酒の歴史はとてつもなく古い。人類が農耕を
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