末っ娘の涙と提督の祝福
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笑いを浮かべた。そもそも奴等はハナから結婚など認めるつもりもなく、ギャアギャアと喚き立ててこの会談自体を反故にしようとしていた。前例が無い、海軍は陸軍へのパイプを築いて陸軍の内政に干渉しようとしている、このような越権行為は認められない、だからこの話も無しだ、等と訳の解らない理論武装をしており、全く話にすらならなかった。
「では、どうやってこの書類を引き出したんです……?」
霧島よ、既に鼻声だから我慢しろとは言わないがせめて顔は拭けよ?色んな液体でぐちゃぐちゃだ。
まずは前例が無いからこそ作る物だ、という話から始まった。既に艦娘との婚姻は法律として認められているし、ウチにも妙高という前例がいる。貴殿方憲兵隊は日本の法律に定められた事を遵守しないというのか?と責めると、少し勢いが弱まった。そして海軍は陸軍へのパイプを築くつもりなどハナからなく、そもそもが同じ国防の任に就いているにも関わらず陸軍は海軍との協力関係を否定するのか、と言うと顔色が赤くなったり紫になったり目まぐるしく変化した。
「そしてトドメと言わんばかりに言ってやったのよ。『陸軍の使う資源を運ぶ船舶を護衛している艦娘を、貴殿方は真っ向から否定すると言うのですな?それならば私の裁量で、今後一切の陸軍関係の護衛任務は断らせて頂く』ってな」
「ちょ、darlingそれは流石にやり過ぎなんじゃあ……!?」
金剛の突っ込みも当然な事で、そんな無茶は通らない。流石の俺でも、んな事したら首が飛ぶ。ある程度の裁量が認められているとはいえ、流石に護衛拒否、なんて真似は出来る筈もない。いわばコレはブラフ……相手の自爆を誘ったミスリードだ。
「案の定引っ掛かってくれてな。『艦娘など人の姿をしたバケモノではないか!その様なモノと我が勇猛なる陸軍兵士との婚姻など認められる訳がなかろう!』と憲兵隊の総司令殿が自爆してくれたよ。即座に総司令は捕縛、今頃軍事法廷じゃねぇのかなぁ〜?」
思い出すだけでニヤニヤが止まらなかった。その憲兵隊の総司令は、元々艦娘否定派の急先鋒ではあったものの、立場が立場で手出しが出来なかった。そこで俺が元帥のジィさんと共謀して一計を案じ、結果敵さんはノコノコと落とし穴に落ちた訳だ。無論、陸軍の公式見解は海軍との協力関係は必要不可欠であり、艦娘は人権を認められた立派な「海軍兵士」である。海軍の兵を愚弄し、その人権まで否定した憲兵隊総司令の罪は重い。極刑以外は認められないだろう、と自らの総司令を捕らえた憲兵はそう語っていた。その胸中は知るべくもないが、これで少しはまともになってくれればなと思う。
「ってな訳で霧島よ、お前さんとあの憲兵君の結婚は正式に海軍・陸軍両方から認められた。これは史上初の事だぞ?名誉な事だ、胸を張れ」
「はい…
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